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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2019年1月15日更新
親子間の事故は
免責になる
通勤運転の練習走行で、思わぬ追突事故を起こしてしまったHさん。しかも、追突したのは練習走行を先導してくれていたお父さんのクルマ。
本当にガッカリな展開となってしまった訳ですが、追い討ちをかけたのが「対物保険が出ない」という保険代理店の担当者の電話での回答です。
Hさんもお父さんも、任意の自動車保険には入っていました。新車購入のHさんは車両保険もちゃんと付けていた模様です。だから、当初、お父さんはこういってHさんを慰めました。
「クルマの修理も保険を使えば大丈夫。父さんのクルマは永く乗っているので車両保険をかけていないが、お前の対物保険で直せるだろうし、お前のクルマは自分の車両保険を使って直せばいい」
ところが、自動車保険を契約している保険代理店の担当者と電話で話したところ、どうもそうはならなさそうなムードに。お父さんは怒りだし、「われわれの事故には対物保険が出ないって、どういうことなんですか、それは!」と叫ぶまでとなってしまいました。
はてさて、保険代理店の担当者は、いったいどんな話をしたのでしょうか?
おそらく、保険代理店の担当者は、「対物保険は他人のモノを壊した場合のみ支払われるものです」と説明し、「親子間の事故は免責となります」と告げたのでしょう。
ところが、お父さんにとってその事実はまったく想定外であり、事故直後で心が不安定だったことも手伝ってうろたえ、ついカッとなったということでしょう。
免責の根拠は
「家庭内の問題」だから
対物保険の補償は、他人のモノを壊した場合にのみ支払われ、親子や夫婦といった“他人ではない者同士”の間で起きた事故は免責となり、まったく支払われないことになっています。
このことは、保険の約款にしっかりと書かれているのですが、Hさんのお父さんはじめ、多くの人がちゃんと認識していないまま過ごしがち。事故を起こしてからはじめて知って頭をかかえるケースが少なくないのです。
万が一のときのことを考え、この点、どうか勘違いがないようお気をつけください。
◎保険毎日新聞社発行『自動車保険の解説2017』の記述
〈賠償責任保険は、被保険者が賠償責任を負担することによって生じた損害に対して保険金を支払うものであるが、親子、夫婦という密接な関係にある、いわば、経済的共同体内部では、一般に損害賠償請求は行われないというのが社会通念であり、約款はこれに併せて免責と定めたものである〉
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