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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2017年9月12日更新
今回、コラムとして紹介するのは、あるロータス店のお客さまである運送会社のドライバーAさんのリアルな体験談。どんな些細な事故でも警察に通報することの大切さがよくわかるうえに、なんだか胸がスカッとする内容になっています。必読です!
些細な事故発生!
東京都内に拠点がある運送会社の社員ドライバーのAさんは、ある朝、荷物を配送するために4トントラックで都内の道路を走り回っていました。
途中、とある交差点で赤信号にひっかかり、Aさんは最前列に1台停まっていた軽自動車のうしろに停止しました。そして待つこと約1分。信号が青に変わって、さあ、再スタートしようというときに、その“事件”は起きました。
前に駐まっていた軽自動車が、スーッとバックしてきて、トラックのバンパーあたりにコツンとぶつかったのです。Aさん、もちろん「えっ?」と驚いたわけですが、なにかの行動を起こすヒマはまったくありませんでした。その軽自動車はすぐに前進をはじめ、こんどは猛スピードで交差点を駆け抜けて(逃げて)いったからです。
Aさん、「えっ、えっ?」とさらに驚き、かつ怒りを覚えながらも、追いかけようもなく、とりあえずトラックを交差点を渡ったところの路肩に停めて、ぶつかったあたりをチェックすることにしました。頑丈なトラックの前部はなんともなっていませんでした。バンパーにちょっとした凹みはあったものの、この事故でついたかどうかの確信はなく、「警察に連絡するほどではないかな」と考えました。
ただ、会社にだけは一報を入れることにしました。日ごろから、どんな些細な事故でも報告を入れるよう指導されていたので、それを守るためにです。
Aさんは、電話にでた上司(運行管理者)に事故の顛末を事細かく話しました。上司はメモを取りながらなのでしょう、ふんふんと聞いてくれていました。そして、話が一通り終わったところで、一言こういいました。「Aさん、どんな小さな事故でも警察への届出は鉄則だから。いまの話をそのまんま連絡しておいて」と。
「そうですか」とAさんは少々面倒くささを感じつつも、いわれたとおりにその場から警察に電話し、上司に話したのと同じ内容を伝えたのでした。
やれやれ。
重大なウソ発覚!
その日、朝の不意の出来事はあったものの、予定どおり配送を終えたAさんは、夕刻に事業所に帰着しました。そして、トラックの洗車をしようと準備しているとき、上司がツカツカと歩み寄り、Aさんに話しかけてきました。
上司の話は、いろんな意味で衝撃的なものでした。以下、二人の会話です。
◎上司「Aさん、さっき、警察から電話があったよ。あの事故の件で」
◎Aさん「え、なんか不明な点でもあったんですかね?」
◎上司「いや、ちがうんだ。ぶつけてきた軽自動車の女が、午後になって、警察に『朝方、交差点で信号待ちしているときに、トラックに追突された』って通報してきたらしく、その連絡のためだよ」
◎Aさん「えー、まったく逆の話になってるじゃないですか! ウソですよ、それ」
◎上司「まあまあ、落ち着け。話はこれからだ」
◎Aさん「あ、はい……」
◎上司「警察もな、先にAさんの通報を受けていたから、かなり不審に思ったようで、『なんで、朝起きた事故のことを午後になってから連絡してきたんですか? じつは朝方に、トラックの運転手さんから事故の詳細についての一報は入っていて、それはあなたの話とはまったくちがう内容になっていますよ』って聞き返したらしいんだ。そしたら、その女、途端にしどろもどろになり、すぐに『すみません、ウソの通報をしました』って認めたんだってさ。あのとき、その場で届出しておいてよかっただろ(笑)」
◎Aさん「……ああ、そうでしたか。ふー、よかった」
◎上司「だから、どんな小さな事故でも警察に届出しなけりゃいけないってこと。世の中には普通の感覚では想像もできない悪いことを企む奴らがいるんだって。警察への届出は、保険会社に事故対応してもらうのためだけじゃない。事実をハッキリ記録して、自分の正しさを証明するためでもあるんだよ」
◎Aさん「はい、わかりました。届出の意味について、いい勉強になりました」
めでたしめでたし。
この話、多少の演出は加えていますが、ほぼノンフィクションです。みなさんも、ビジネス、プライベートの区別なく、交通事故に遭ったら、それがどんな些細な内容でも必ず警察に一報を入れるようにしましょう。
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