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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2019年3月26日更新
自賠責の補償対象を
知らない人が多い
前編では、原付バイク(原動機付自転車)に自賠責しかつけていなかったMさん夫婦の悲劇を例に、自賠責の補償対象が限定的であること(自分に関する補償がでないこと)を改めて確認しました。
では、Mさん夫婦、自賠責以外に、どんな保険をかけておくべきだったのでしょうか?
ひとつは、いうまでもなく、任意保険に加入するということがあげられます。
保険会社によってその補償内容は異なりますが、たとえば東京海上日動のTAPの場合は、対人賠償はもちろん、対物賠償、人身傷害、車両補償がついてきます。つまり、自賠責とはちがい、自分の治療代、自分の車両修理代の補償もしっかりついてくるのです。
ただ、この任意保険、保険料がそれなりにします。つましく暮らしているMさん夫婦にとっては、なかなかに痛い出費となるので、原付バイク用としては理想的な選択とはならないかもしれません。
とくに夫がクルマをもっていることを考えると、その印象はより顕著となります。なぜなら、家族のだれかがクルマをもっていて自動車保険に入ってるとしたら、ファミリーバイク特約という保険に加入することができるからです。そして、そちらのほうが原付バイク用としてはよりリーズナブルだからです。
自分に関する補償はゼロ
このファミリーバイク特約という保険、東京海上日動はじめさまざまな保険会社の情報を読み解くと、だいたい以下のような内容になります。
◎ファミリーバイクとは、総排気量125cc以下の二輪車のことである。
◎ファミリーバイク特約は、家族のだれかが任意の自動車保険に入っていれば、リーズナブルな料金で加入ができる。
◎ファミリーバイク特約は、本人ならびに家族がファミリーバイク(借りたファミリーバイクを含む)を使用中に事故を起こした場合、相手に負わせたケガや物損の補償が行われるのはもちろん、自身のケガ等の治療費も支払われる。ただし、自分のバイクの修理代はでない。
◎ファミリーバイク特約は、「人身傷害あり」または「自損事故傷害あり」のいずれかのタイプがあって、それぞれで補償の範囲が異なる。
上記にあるとおり、このファミリーバイク特約では、残念ながら、自分のバイクの修理代はでません。ですが、「人身傷害あり」「自損事故傷害あり」のいずれかのタイプであっても自分のケガの治療費はでるようになっています(タイプによって支払われる保険金の額は異なります)。
だから、Mさんの奥さんの場合も、原付バイクにこの特約がついていれば、バイクの修理代はともかく、ケガの治療費についてはなんとかなったということになるのです。ご主人、たぶんすごくいい人なのでしょうが、それに気づかなかったのはまことに迂闊でした。自費で奥さんのケガを早く直し、自費で新しくバイクを購入し、また共働きができる態勢を整え、意気軒昂にマイホームの夢に向って邁進していくことを祈るしかありません。
ということで、最後に読者のみなさまにアドバイスをひとつ。
もし、あなたもしくはあなたのご家族が原付バイクなどを運転しているとしたら、自動車保険を契約している代理店の担当者に、その情報をきっちり伝えるようにしましょう。担当者は、あなたの経済的事情を鑑みつつ、原付バイク用の任意保険なり、特約なりのいずれかの提案をしてくれるはずです。とにもかくにも、家族のだれかが自賠責だけで原付バイクを運転しているようなハラハラドキドキの状況からは、一刻も早く抜けだすよう努めてください。
妻が原付バイクの自損事故で大ケガ。えっ、自賠責で治療費はでない!?〈前編〉
妻が原付バイクの自損事故で大ケガ。えっ、自賠責で治療費はでない!?〈後編〉
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