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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2024年9月17日更新
走行中にドライバーが失神してしまったら、助手席にいる人はどうすべきなのか?……肉親や優人の運転するクルマに同乗した際に、そこまで考える人は少ないでしょう。
しかし、クルマの走行中に発生するかもしれない「もしもの事態」に備えるという観点からすれば、その手段を知り、緊急対応できるようにしておくことが大事です。
助手席からでも
クルマは停められる
走行中にドライバーが失神してしまったら、多くの場合、助手席にいる人は大きな事故にならないよう、クルマを減速し、停止させるように努める必要があります。
以下に列挙するのは、それを助手席から行うための方法です。万が一のときは、このうちのどれか、あるいは組み合わせにトライしましょう。
●パワースイッチをOFFにする(高年式のクルマ)
最近のクルマは、エンジン始動をキーではなく、パワースイッチ(スタート/ストップスイッチ)で行うようになっており、その多くは助手席から手が届くインパネの中央やセンターコンソールに取り付けられている。このスイッチを数秒間長押しすれば、エンジンを強制的に止めることができる。
●トランスミッションをNに変える(オートマチック車)
運転席と助手席の間にトランスミッションのレバーがある。これをD(ドライブ)などの走行ポジションからN(ニュートラル)に変えると、タイヤに伝わるエンジンの駆動力がキャンセルされ、徐々にスピードが落ちる。
●サイドブレーキを引く(低年式のクルマ)
古めのクルマの多くには、運転席と助手席の間にハンドタイプのサイドブレーキが取り付けられている。これを引けば減速させることができる。ただし、一気に引くとクルマがスピンする可能性がある。
●EPBを長押し/長引きする(高年式のクルマ)
最近のクルマにはサイドブレーキの代わりにEPB(電子パーキングブレーキ)を採用しているものが多く、そのほとんどは助手席から手が届くインパネの中央やセンターコンソールに取り付けられている。これを長押しもしくは長引きすれば、減速させることができる(車種によって押すか引くかが異なる)。
●ハンドルを操作する
助手席からハンドルを操作し、走行路のガードレールなどに車体を擦らせて停止を図る。ハンドル操作は、歩行者との衝突を避ける際にも有効。
これらの方法のいくつかは、クルマのメーカー、車種、年代によって若干内容が異なっています。万が一に備え、同乗する可能性があるクルマについて、そのクルマで実行可能な停止・減速方法を確認しておくようにしましょう。
ドライバーの代わりに
4つの義務を果たす
さて、走行中にドライバーが失神してしまい、助手席にいたあなたが上記の方法でクルマを減速・停止させたとき、前編のストーリーのように事故が発生していた場合には、ドライバーに代わってあなたが「ドライバーの4つの義務(①車両等の運転の停止、②負傷者を救護、③道路における危険を防止する措置、④警察への報告)を果たす必要があります。
車両等の運転の停止については、クルマが再び動き出さないようにしっかり停止させる必要があります。
次に、ドライバー以外に負傷者がいなければ、ドライバーの救護のために119番通報して救急車の出動を要請するなどの措置を行うと思いますが、他に負傷者がいる場合はその人の救護のために必要な措置をも行わなければなりません。
道路における危険を防止する措置については、ドライバーを運転席から動かして良いかどうかという点も関係します(119番通報の際に対応を相談すべき)。クルマを動かすことが難しいならば、ハザードランプや三角表示板、発炎筒などを使って周囲に事故で停車していることを知らせるようにしましょう。
そして、早急に警察への報告を行わなければなりません。具体的には、所持しているスマートフォンなどから110番通報をします(スマートフォンなどから110番通報すると、現在地情報が緊急通報位置通知として自動的に警察に通知されます)。そして、負傷者の有無や状況、事故の状況などを報告してください。
基本的に自動車保険の補償の対象
なお、健康起因事故による損害は、加入者に重大な過失がない限り、基本的に自動車保険の補償の対象となります。
前編に掲載したストーリーに登場したMさん夫婦の事故でいえば、壊した2軒の家の塀などは対物賠償保険で補償されます。また、自車の損害は車両保険で補償されます。そして、Mさん夫婦が負ったケガの損害は人身傷害保険/搭乗者傷害保険で補償されます(ただし、Mさんの夫の病気=狭心症の治療費・入院費については対象外です)。
日ごろの健康管理に気をつけ、万が一の事態にも備えつつ、健やかで安心なカーライフをお過ごしください。
走行中にドライバーが失神。助手席のあなたはその危機をどう切り抜ける?(前編)
走行中にドライバーが失神。助手席のあなたはその危機をどう切り抜ける?(後編)
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