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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2024年7月30日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
Kさん(26歳・会社員)は、後輩女子から2年落ちの軽自動車を格安で譲ってもらった。
その子は結婚して東京に行くことになっていたのだが、夫となる男性もクルマを持っており、「さすがに都会で2台もいらないよね。というか2台も維持できないよね」ということに。
当初は中古車販売店に売却するつもりでいたらしいが、Kさんがクルマの買い替えを考えていると聞き及び、「じゃあ、お世話になったお礼に身内価格でお譲りします」と申し出てくれたのだった。
Kさんは渡りに舟とばかり、この申し出を受けた。そして、行政書士の資格を持っている友人に頼み、名義書き換えも格安で済ませた。
持つべきものはかわいい後輩。Kさんがその子の結婚式で慣例よりも多く祝儀を包んだのは言うまでもなかった。
だが、この譲渡が思いがけない悲劇を生むことに。
ある日、譲ってもらったクルマでの通勤途中、Kさんは突然車体がガクガクするというトラブルに見舞われた。走るのが怖くなったKさんは、すぐに保険会社のレッカーサービスを呼んで自宅近くのディーラーへの搬送を依頼した。
次の週末、Kさんがディーラーを訪ねると、サービスアドバイザーから「このクルマのトランスミッションはCVTなんですが、そのCVTの故障が原因です」と説明された。続けて、サービスアドバイザーは「CVTの故障の場合、修理は行わず新品に交換することになります。費用は概算で30~40万円になると思います」との見通しを示した。
それを聞いて驚いたKさんは「クルマはまだ新しいからメーカー保証が効きますよね?」と尋ねた。ところが、サービスアドバイザーは目を伏せながらこう言った。
「保証書を拝見したところ、前に所有していた方からのメーカー保証の継承手続きが行われていませんでした。なので、保証期間内ではあっても、保証の対象外となってしまいます。直すとしたら、ご自身で修理費用をご負担いただくことになります」
ガーン!
Kさんはショックで呆然となったが、そのときなぜか、後輩女子の結婚式のときに「近いうちに、譲ってもらったクルマで東京の新居に遊びに行くね♡」と約束したシーンが頭に浮かんだ。今やそれが物理的にも金銭的にもかなり難しくなったことを悟り、涙を流すのであった。
所有者が代わっても
メーカー保証は続くが…
新車の部品が故障(自然損傷)したときに無料で修理が受けられるメーカー保証には、「一般保証」と「特別保証」の二つがあります。
一般保証は、基本的にクルマを構成する消耗品を除く部品の故障が対象。例えば電動ミラーやスマートキー、カーエアコン、ドリンクホルダー、シートヒーターなどの故障がそれに当たります。保証期間は、多くの場合、新車登録の日から3年間または走行距離6万㎞と規定されています。
特別保証は、基本的に走行に関わる重要なパーツの故障が対象。例えばエンジン、動力伝達機構、電子制御部品などの故障がそれに当たります。保証期間は、多くの場合、新車登録の日から5年間または走行距離10万㎞と規定されています。
このメーカー保証は、クルマの所有者が代わったとしても、定められた期間内・距離内であれば引き続き効力が保たれます。
しかし、Kさんのように保証継承を怠った(忘れた)場合は、もったいないことに効力はすべて消滅してしまいます。
後編では、こうした残念な事態を避けるべく、保証継承のやり方について概説します。
知り合いから格安で譲り受けたクルマが故障。保証継承していなかったので大損するハメに!(前編)
知り合いから格安で譲り受けたクルマが故障。保証継承していなかったので大損するハメに!(後編)
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