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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.93(前編)法定点検をサボると、メーカー保証が適用されなくなっちゃうかも!?

2024年6月13日更新

メーカー保証_1

【今回のやっちゃったストーリー】

「最近の家電は壊れないから助かるわ」

Jさん(28歳・会社員)は、常々そう思っている。

実際、独り暮らしをはじめた7年前から、使っている家電はひとつも壊れていなかった。冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビ、エアコンなどなど、全部現役のままで活躍している。その間、身の回りの機械で壊れたものといえば、毎日SNSでハードに使っているスマホぐらいだった。

こんなJさんにとって、2年半前に新車で購入した軽自動車も壊れない機械のひとつとなっていた。毎日の通勤の足として使うほか、ロングドライブなどにもよく出かけるが、走りは快調だった。

購入の際、ディーラーの担当者から「半年ごとにエンジンオイルを交換してくださいね」「定期点検は必ず受けるようにしてくださいね」というようなことをいわれた記憶がうっすらあるし、ときどきそうしたことを知らせるハガキも届いていた。けれども、常にちゃんと走っていたし、仕事とプライベートで忙しくもあったので、すべてスルーしてきた。

「オイルを交換しなくたって、点検を受けなくったって、別に問題ないでしょ。うちの冷蔵庫や洗濯機なんて、なんにもしなくたって壊れないし」

だが、この判断が思わぬ出費を招くことに――。

ある日の夕刻、Jさんは会社から20㎞離れた自宅に帰るべく愛車を走らせた。ところが、途中で異変が起きた。ボンネットからガラガラという音が聞こえ、車内に焦げた臭いが強烈に漂ってきたのだ。慌てて減速して路肩に寄せたら、クルマはそこで急にストップしてしまった。

「なに、なに、なに?」

Jさんは、加入している保険会社にレッカー移動を頼み、クルマを購入したディーラーに持ち込んだ。診断の結果、エンジンが焼き付いているのがわかった。その報告にきた担当者は「対処としては、エンジンの載せ替えをおすすめいたします」と言った。そして、「修理代は、概算ですが20万円ほどになると思います」と言葉を継いだ。

それを聞いてJさんは、頭に血を上らせた。

「信じらんない! このクルマ、2年半前に新車で買ったばかりよ。なのに、もう壊れちゃうってどういうこと? それに20万円ってなによ!買ってからそんなに経ってないんだから、メーカー保証で無料で直してよ!」

怒気いっぱいの言葉を放つJさんにたじろぎつつ、担当者はこう応じた。

「今回の故障は、ご購入後にエンジンオイルの交換を一度もされておらず、法定点検などの点検も一切受けていらっしゃらなかったから起きたものと考えられます。メーカー保証については、まだご購入から2年半で走行距離も4万㎞なので保証の有効期限内ではありますが、点検・整備の経緯がメーカー保証の条件を満たしていないため、適用されない可能性が高いです。ちなみに、このことは取扱い説明書に書いてありますし、ご納車の際にもご説明させていただいたと思います」

その後もしばらく抗弁したJさんだったが、だんだん言葉をなくしていった。最後には、しおしおになり、有料になるかもしれないエンジン載せ替えの申し込みを行うに至った。うーん、残念だけど自業自得……。

一般保証と特別保証

新車を購入すると、もれなくメーカー保証がついてきます。

これは一定期間内にクルマに製造上の不具合や部品などの不具合が生じたときに、メーカーが責任をもって無料で修理・交換などを行うものです。部品でいえば、タイヤやチューブ、バッテリーなどの消耗品を除くすべての部品が対象となっています。

このメーカー保証は、「一般保証」と「特別保証」に分けられ、それぞれ対象となる部品と適用される期間が異なります。

一般保証は、基本的にクルマを構成する全部品(消耗品を除く)が対象。例えば電動ミラーやスマートキー、カーエアコン、ドリンクホルダー、シートヒーターなど多様なパーツがそれに当たります。保証期間は、多くのメーカーが新車登録の日から3年間または走行距離6万㎞と規定しています。

特別保証は、クルマを構成する部品のうち走行性能や安全性能などに関わる特に大切な部品が対象になります。例えばエンジン、動力伝達機構、電子制御部品などがそれに当たります。保証期間は、多くのメーカーが新車登録の日から5年間または走行距離10万㎞と規定しています。

一般保証と特別保証の保証期間

それぞれの保証期間を忘れないよう、「一般保証は初回の車検まで」「特別補償は2回目の車検まで」とおぼえておくといいかもしれません。

法定点検をサボると、メーカー保証が適用されなくなっちゃうかも!?(前編)

法定点検をサボると、メーカー保証が適用されなくなっちゃうかも!?(後編)

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