ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2023年12月2日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
「自宅から通える都市部の大学に行きなさい。地方の大学に行くなら、学費と多少の食費は出すにしても、家賃までは出さないからな」
東京育ちのEくん(18歳)は、かねてより父にこういわれていた。しかし、あえて遠くの県にある大学に進学した。口うるさい父と離れて暮らしたかったし、家賃ぐらいならアルバイトすればなんとかなると楽観していた。
実際、半年間はなんとかなった。勉学の合間の家庭教師のバイトだけで、地方の安いアパートの家賃は余裕で支払えた。潤沢な仕送りがある他の学生たちのような贅沢はできなかったものの、自立している感覚を覚え、充実した日々を送っていた。
しかし、そんなある日、思わぬ悲劇がEくんを襲う。
アパートに隣接する大家さんの家には広い庭があったのだが、暑い夏を経て草ぼうぼうの状態になっていた。そこにはEくんが嫌いな虫や蛇、ネズミが多く棲息しており、ときにそれらはアパートにまで侵入してきていた。大家さんに草刈りを進言したいところだが、大家さんは腰痛持ちの後期高齢者。そう簡単には草刈りができない状態にあった。
そこでEくんは、日ごろからお世話になっている大家さんを助けるという名目を立て、「僕がなんとかします」とボランティアでの草刈りを申し出た。
大家さんは相好を崩して「そりゃ助かる。納屋に手持ちで使えるエンジン式の草刈機があるから、それを使っておくれ。終わったら、晩ご飯ごちそうするよって」と言い、Eくんの申し出を受け入れた。
納屋にあった草刈機はギザギザの刃がある円形の鋼鉄がむき出しで回る剣呑な代物。最初は怖々使っていたが、どんなに腰が引けていても気持ちよく雑草が刈れるので、だんだん楽しくなり、作業の速度はどんどん上がっていった。
だが、庭の半分の雑草を刈り終えたあたりで、誤って草刈機の刃を地面に当て、「カーン」と大きめの小石を弾いてしまう。すると、あろうことか、その小石はアパートの駐車場にあるクルマのところまで飛んでゆき駐車していたクルマのリアのウインドウに当たった。「パシンッ!」。ウインドウガラスは小石の当たった部分からひび割れると、ガラスがバラバラと散った。そのクルマは、親の仕送りで優雅に暮らす学生の持ち物だった。
「あわわわ」
クルマの所有者である学生からは大いになじられることに……。後日、修理代の見積もりが10万円以上と伝えられ、しかも修理後すぐの支払いを要求された。
当初Eくんは、バイトの稼ぎの余剰分を貯めて修理代に当てようかと考えていたが、そうはいかないようで、ほとほと困り果てた。
「ああ、どうしよう」
結局、Eくんは父に電話を入れて金を無心することにした。
「後で必ず返すから、とりあえずクルマの修理代を貸してもらえると助かるんだけど……」
Eくんは、父からの小言もしくは叱責を覚悟していた。だが、話を聞き終わった父は、一拍おいて穏やかにこう言った。
「心配しないでいい。俺の自動車保険の特約の個人賠償責任保険でなんとかなる。お前は一銭もお金を出す必要はない。今までどおり勉強とアルバイトを頑張り、お前なりの充実した学生生活を続けなさい」
個人賠償責任保険がどんな保険なのかは知らなかったが、どうやら父は、地方に行った息子のことをちゃんと考えてくれていた模様。Eくんは目に涙を浮かべて、「ありがとう」と心の底からの一言を告げて電話を切ったのであった。
幅広い補償で
コスパが抜群
日常のさまざまなシーンでうっかり他人の物を壊したり他人をケガさせてしまったりしたときには、損害賠償の責任が発生します。
「個人賠償責任保険」は、その損害賠償に必要なお金が、契約時に決めた保険金額(1事故につき1億円、3億円、無制限など)を限度として出る保険です。
この保険、幅広い補償がありコスパは抜群。
後編で詳述しますが、実にさまざまな事故・トラブルの損賠賠償が補償の対象になります。また、補償を受けられる対象者が契約者のみでなく、一部例外を除いて家族全体に及びます。
そして、そのわりに保険料は安く、大手損害保険会社の自動車保険に特約として付帯するならば年2,400円程度(※あくまでも目安です)です。
加入も簡単。自身が契約している自動車保険や火災保険の特約として付帯できるだけでなく、単独での契約も可能です。
草刈機の飛び石で他人のクルマを傷つけてしまった!修理代どうしよう!(前編)
草刈機の飛び石で他人のクルマを傷つけてしまった!修理代どうしよう!(後編)
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
【今回のやっちゃったストーリー】中堅企業に勤務するCさんは、33歳の若い営業部長。強引な仕事ぶりは周囲からひんしゅくを買うことが多いが、必ず結果を出すため、社…
2023.10.12更新
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
【今回のやっちゃったストーリー】自分のクルマが欲しくてたまらなかったGくん(21歳・会社員)。ある日、叔父さんから、次の車検まであと半年の、10年落ち20万…
2024.02.08更新
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
ホンダとともに高いレベルの製品を開発日本で一番信頼できる緊急脱出支援用具と目されている「消棒RESCUE」をつくっているのは、埼玉県所沢市にある株式会社ワイピ…
2018.04.25更新
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
購入後すぐの故障であれば「瑕疵担保責任」で救われるが…前編に続いて、「損傷は保険、故障は保証」のうちの「故障は保証」について……。新車を購入した場合、3年…
2019.02.26更新
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
【今回のやっちゃったストーリー】地元の大学に実家から通っているCくん(20歳)。趣味のサーフィンに行く足として、ずうっと自分のクルマがほしかった。家に父親の…
2021.03.25更新
クルマのトラブル「もしも」マニュアル
前編に掲載したKさんの事例を、もう一度振り返っておきましょう。Kさんは、独立心を養わせるためにパラサイト・シングルの息子(30歳)を別居させました。同時に、息…
2021.11.25更新