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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2021年9月3日更新
自動車保険の中断制度は、これまではあまり耳にしたことがなかったかもしれませんが、今後はさらに一般化するかもしれません。その一つが、前編のHさんのストーリーのような、自動車免許の自主返納を行う高齢者から同居の親族への自動車保険の等級譲渡に中断制度をからませるというパターンです。
保険代理店などに相談しよう
まずは、もう少し自動車保険の中断制度について見ていきましょう。
自動車保険の中断制度は、具体的には中断証明書によって担われています。この中断証明書を保険会社に発行してもらうことは難しいことではありません。
中断証明書の発行には、所定の中断証明書発行依頼書に必要事項を記入し、これまで保険契約の対象となっていたクルマの廃車・譲渡・返還などをしたということを確認できる公的書類(登録事項等証明書[写]など)を準備し、保険会社に申請すればよいのです。
《中断証明書の発行条件》
①中断する契約の保険期間中に以下のいずれかが発生した場合
・契約のクルマを廃車、売却・譲渡、(リース車の場合)リース会社への返還
・契約のクルマが盗難された
・契約のクルマを一時抹消登録
・契約のクルマが車検切れとなった
・他の契約のクルマを廃車などにし、契約のクルマを他の契約に入れ替えた
②中断する契約の次の等級が7等級以上であること
※中断する契約の保険期間中に事故がある場合には、事故に応じて下がった等級が7等級以上である
こと。
③契約の保険会社が定める期間内に中断証明書発行依頼書を提出すること
この自動車保険の中断制度については、自分だけで考えるよりも、保険代理店などと相談して進めるほうが安心です。たとえば、クルマについて日頃から付き合いのあるロータス店のような自動車整備工場で自動車保険に加入している場合は、中断証明書発行依頼書とともに必要となるクルマの廃車・譲渡・返還などを証明する公的書類も整えてもらえるはずです。
中断した等級は
配偶者や同居親族に引き継ぎ可能
最近、この自動車保険の中断制度が、海外赴任や国内の転勤といった事情以外でも使われるようになっています。
その一つが、自動車免許の自主返納を決めた高齢者が、自動車保険については解約せず、中断制度を使って自分の等級を保存し、タイミングを見てその等級を同居の親族などに譲渡するというものです。前編に登場するHさんのストーリーがまさにその例ですが、さらに極端なパターンもあります。
具体的に言えば……三世代が同居する家族で、祖父が免許返納を決意したとします。このとき、自動車保険の中断制度を活用すれば(一般的に)10年間、その等級(20等級と想定)を保存できます。そして、この祖父の孫がこの時点で8歳だとしても、10年後は18歳。自動車免許を取得して、自分のクルマを運転するようになっている可能性はかなりあります。
当然、自動車保険を契約することになりますが、18歳で免許取りたての若者が自動車保険の契約をすれば、その保険料はけっこうな金額になります。いろいろな条件で保険料は異なりますが、一般的には6等級での契約で年額約30万円にもなるでしょう。それが祖父の20等級を引き継いで契約をすれば半額程度で済むはずです。
自動車保険の等級は、一定の手順を踏めば「配偶者」や「同居する親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)」に引き継ぐことができるようになっています。
※自動車保険の等級の引き継ぎについては、以前に公開したロータスタウンの以下の記事(記事中では19歳の息子に父親の20等級を引き継ぐ設定)も参考にご覧ください。
若い息子の自動車保険料を安くする『等級の引き継ぎ』という“奥の手”!(前編)
若い息子の自動車保険料を安くする『等級の引き継ぎ』という“奥の手”!(後編)
このように、家族間の自動車保険等級の引き継ぎに、自動車保険の中断制度を組み合わせることで、上述のように高齢者が免許返納するタイミングではまだ子供で自動車免許を持っていない孫に、タイムカプセルのように自動車保険の等級を引き継ぐことが可能……というわけです。
なお、中断後に自動車保険を再契約するときは、契約する保険会社が以前と異なっていても大丈夫。保険会社が変わっても中断時の等級がそのまま反映されます。この中断制度は、結構フレキシブルなのです。
ひとつ、注意項目を挙げるとすると、10年もの時を経て行う自動車保険契約ですが、その際に中断証明書の提出が必要です。くれぐれも大切に保管するようにしてください。
クルマを手放すとき、自動車保険は中断扱いにしたほうがいい場合がある!(前編)
クルマを手放すとき、自動車保険は中断扱いにしたほうがいい場合がある!(後編)
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