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達人に訊く(52)なんと、世界初のEVレスキュー車『助っ人EV』を共同開発しちゃいました!

2019年12月3日更新

今月の達人
品田商会・品田庄一

品田社長_web

私が社長を務める有限会社品田商会(ロータスシナダ)は、前回触れた2009年の経済産業省の『EV・PHVタウン構想』の新潟県の施策や、その後に実施された経済産業省外局・資源エネルギー庁の『電気自動車普及環境整備実証事業 (ガソリンスタンド等における充電サービス実証事業)』の施策に参画する形で、数年にわたって電動車普及のためのさまざまな活動を展開してきました。今回は、まず『EV・PHVタウン構想』のもとで行った取り組みについてご紹介します。

電欠の心配を軽減する
『助っ人EV』誕生

2008年に始まった経済産業省の『EV・PHVタウン構想』で、新潟県は第1期のEV・PHVタウンに選定され、柏崎市はその一翼を担うモデル地域になりました。新潟県のアクションプランは、EVなどの公用車の導入のほか、EV・PHVの取得における税金の軽減、さらには充電インフラの整備などオーソドックスなものでした。このプランの稼動時に新潟県内のEV・PHVの導入は34台で、その内20台が柏崎市でした。これは、私たちも一緒になってEV・PHVに親和性のある土壌づくりを行ってきた成果ですが、その土壌を活かしてさまざまな活動が行われました。

その中の代表的なものの一つが『助っ人EV』の開発です。
経済産業省の『低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業』という名の事業のもとで、柏崎市に本社を置く電線製造機器(伸線機)メーカーのサイカワを中心に、サンワーズ、柏崎商工会議所そして私たち品田商会からなる“チーム柏崎”と、三菱自動車工業、東京電力、豊田自動織機、ハセテック、NICOといった複数の企業が参加して開発を行いました。

当時のEVは航続距離が短く、かつ充電器のインフラも十分でなかったことから、走行中の頻繁な電欠が懸念されており、それが一般への普及の妨げとなっていました。助っ人EVは、そうしたマイナス要因を軽減するクルマ、すなわち、誰かのEVが電欠となったときに電気をそこまで運んで充電するレスキュー活動を行うクルマとして発案・開発したものです。

助っ人EV(初代、写真右)

助っ人EV(初代、写真右)



ベース車両は、三菱自動車のi-MiEV(アイ・ミーブ)です。このi-MiEVの後部座席に急速充電器を搭載し、自車のリチウムイオン電池に蓄えられた電力をいったん急速充電器に吸い上げ、それを電欠EVに充電するという仕組みで、その装置をサイカワが開発しました。

当社は、ベース車両の改造後の構造変更新規検査にてナンバーの取得、車体ディカールのデザイン施行、実証実験を担当しました。
試作車が完成するまでの間には、「50ナンバーのままで4人乗りから2人乗りの変更で新規にナンバーが取得出来るのか」といった課題がいろいろありました。こうしたことを、軽自動車検査協会長岡事務所のアドバイスをいただきながら、一つ一つクリアしていったわけです。
試作車(初代助っ人EV)は、2009年11月に完成。「世界初のEVレスキュー車誕生!」ということで、業界内外で大きな話題となりました。

2代目、3代目と
『助っ人EV』は進化

しかし、この初代助っ人EVには大きな欠点がありました。
充電レスキューを行うに当たって、「レスキューに使う電力」プラス「助っ人EVがその距離を往復する電力」を、ベース車両(i-MiEV)のバッテリーから供給しなければならないため、出向ける距離に限りがあったのです。

これは開発段階から分かっていたことですが、初代は「助っ人EVという発想を具現化する」という考えを優先しました。その後、初代を使っての実証実験を行いつつ、課題を解決すべく2代目助っ人EVに着手。

助っ人EV2代目の給電シーン(写真提供:株式会社サイカワ)

助っ人EV2代目の給電シーン(写真提供:株式会社サイカワ)



そして、2013年、MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ バン)に、救援用の電源(東芝製リチウムイオンバッテリーSCiB、11kWh)を別載する形にした2代目助っ人EV『EDS-11』が完成(CHAdeMO認証も取得)。
救援後の助っ人EV自体の航続距離減少問題は解消。EVの救援だけでなく、家庭への電力供給(V2H)においても1台で平均的な一般家庭の1日分を賄えることから、災害時の緊急用電源として活用できるものとなりました。

さらに、2014年には、東芝製リチウムイオンバッテリーSCiBの容量を22kWhに拡大した3代目助っ人EV『EDS-22』をデビューさせました。

これらの助っ人EVは、EV関連のさまざまな展示会などで一般公開し、またEVが集うイベントなどでは実際の電欠に備えて出動・待機してきました(ロータスクラブが会員となっている日本EVクラブ[代表:舘内端氏]が長野県白馬村で毎年に開催している『ジャパンEVラリー』にも参加)。

 

助っ人EV2代目_展示_webナンバー消

正直なところ、現時点での需要はそう多くありません。しかし、今後の本格的なEV時代到来の暁には、電欠EVのレスキューはもちろん、災害時の電源として、またキャンプや屋外イベントでの電源として活用されることが大いに期待されています。

EVの充電器が
電動車対応をPR

『EV・PHVタウン構想』では、柏崎市の各所に200Vの普通充電器や急速充電器を設置するというオーソドックスな事業も行われました。
これにも、私たちは、EVが扱える整備工場として関与し、市内にある施設や店舗に充電装置を設置するお手伝いをしました。

地域をあげてEV・PHVの浸透を行った結果、現時点で柏崎市内には42もの充電ポイントができていて、近郊を走る上においては電欠の心配がほとんどないレベルになっています。

柏崎市内の銀行の駐車場に設置された充電器

柏崎市内の銀行の駐車場に設置された充電器



もちろん、当社も2009年から店頭に普通充電器を設置しています。
当時、HVはたくさん走っているにしても、EVやPHEVといった電動車はまだ少なかったこともあり、同業者からは「そんなもの設置したって意味がない」という声も聞かれましたが、この設置はビジネス面でも大きな効果をもたらしました。

ここまでお話してきたように、私たちは、EVやPHEVへの取り組みをずっと行い、技術面でも確かな蓄積を持っていましたが、以前はそれが対外的にあまり伝わっていないところがありました。

ところが、普通充電器を店頭に設置したことによって「ロータスシナダはEV・PHVに進んで取り組んでいる」という認識が広まり、その後はあれよあれよというまにHVの入庫が増えていったのです(もちろん数は少ないもののEV、PHEVの入庫も増)。
「他に先駆けた行動にリスクはつきもの。でも、それが時代の流れに沿った正しいものであれば、きっといいリターンがある」。これは、そんなことを強く実感させる出来事となったのでした。

充電器看板web

店頭充電器web

その他にも、私たちは柏崎商工会議所・電気自動車研究会の一員として超小型EVの試作車を造ったり、柏崎EVエコラリーの開催に協力したり、電動車普及に向けた活動をたくさんやりました。なかには頓挫したものもありますが、それらから得た知見と技術はすべて、これからの電動車対応のために役立つことでしょう。

超小型EV

超小型EV



なので、いま私たちは「EV時代よ、いつでもこい!」といった感じの余裕の構えでいます。そして、爆発的な普及がはじまるであろう近い将来に思いを馳せ、大きな期待を抱いています。

実は、日本には電動車普及のための下地がしっかりとできているんです!

なんと、世界初のEVレスキュー車『助っ人EV』を共同開発しちゃいました!

太陽光発電でEVの充電をするガソリンスタンドがあるのを知っていますか?

いまロータス店がぞくぞくと『次世代自動車取扱認定店』になっています!

『次世代自動車取扱認定店』には“環境に取り組むココロ”がしっかりあります!

「バッテリーマネジメント」という言葉をご存知ですか?

これからの10年は新しいEV・PHV・PHEVがぞくぞくと登場します!

お店紹介
品田商会:1950年、品田庄治郎氏が創業。当初は自転車・バイクの販売修理業としてスタート。その後、自動車(国産・輸入車)の修理と販売を手がけ、その技術の高さが評判を呼んで大きく成長。地元では、早くからEVをはじめとする次世代自動車に対応できる会社として認知される(LOTAS次世代自動車取扱認定店)。2代目の社長である品田庄一氏は“環境オタク”を自認。クリーンでエコなお店づくりに取り組んでいる。

品田商会_店舗外観_web

住所:新潟県柏崎市松波4-1-63
電話:0257-23-2227(代)
HP:https://www.shinada-web.com

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