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クルマのことならなんでもガイド
2019年4月9日更新
今月の達人
大村モータース・山中剛
今回のお話は、『アイドリングストップシステム』を搭載するクルマのために開発された『アイドリングストップ車用カーバッテリー』について。一昔前であれば、クルマのシステムの違いによってカーバッテリーを変えるということは基本的に無かったのですが、最近はシステムに適合したカーバッテリーが必須となっています。
『アイドリングストップ車』は
頻繁に大量の電力を使う
最近、『アイドリングストップシステム(以下、アイドリングストップ)』を搭載したガソリン車が増えています。2000年を過ぎてから普及し出したアイドリングストップですが、軽自動車を含めたクルマ一般に搭載され、新車の多くがこのシステムを搭載するようになっています。
アイドリングストップは、前回取り上げた『充電制御システム』と同様にクルマの燃費向上と環境対策を実現するために開発されたものです。ただし、二つは同じシステムというわけではありません。
現在のアイドリングストップは、クルマが信号待ちなどで停車すると自動的にエンジンをストップさせ(減速時から一定車速以下でエンジンをストップさせるシステムもある)、再出発時にブレーキから足を離すと自動的にエンジンが始動するというシステム。エンジン停止をこまめに繰り返すことでガソリン燃焼量ならびに排ガス量を減らす効果をもたらします。充電制御システムがバッテリーの充電量によってオルタネーター(発電機)をON/OFFしてエンジン負荷の軽減を図り、それによって燃費向上を達成するのとは根本的に仕組みが違います。
経済的かつクリーンにドライブしたい人にとっては、このアイドリングストップは言うことなしの仕組みです。
ですが、その一方で、ちょっとだけ問題があったりもします。実は、このシステムはカーバッテリーにとんでもなく過酷な働きを強いるのです。前回、「充電制御システムが、カーバッテリーに過酷な状況を生み出す」と述べましたが、それを大きく上回る過酷さ。普通のカーバッテリーではとても太刀打ちできません。
なにしろ、アイドリングストップ車は、街中での信号待ちの度にエンジンの停止と始動を繰り返します。その都度、エンジンを始動させるためのスターター(セルモーター)を回しますが、これが瞬間的にかなりの電力消費となります。つまり、アイドリングストップ車は、頻繁にエンジンの再始動を繰り返すため、普通のクルマに比べてバッテリーの消耗が激しいのです。
しかも、エンジン停止時にはオルタネーターからの充電がされていない状態になっているにも関わらずカーオーディオやナビゲーションシステム、エアコンの送風機能(冷房機能・暖房機能は停止)などに電力を供給し続けることになるため、再始動時には急激な電力回復能力が必要となります。
聞くところによると、バッテリーメーカーは、こうした課題を解決するためにはどうすればいいかずいぶんと悩んだみたいです。
でも、そこはプロ。難なくとはいかなかったものの、これらの課題をすべて解決できる高性能なアイドリングストップ車用カーバッテリーを見事に開発してくれました。バッテリーの進化はクルマの進化に追随しなければならない宿命を負っているとはいえ、これほどまでに過酷な状況をクリアするとは天晴れというほかありません。
大容量化し電力回復能力をアップした
『アイドリングストップ車用バッテリー』
では、アイドリングストップ車用カーバッテリーは、具体的にどのような高性能化が図られているのでしょうか。
これは言葉にすると意外にカンタン。主に「バッテリーの大容量化」と「すぐに電力を回復させる(高速充電性能=充電受入性のアップ)」の二つです。
以下は、その高性能化を表すイメージ図です。なんとなくですが、そのすごさがおわかりいただけると思います。
このすごい能力を支えるために、構造は特別なあつらえとなっていて、耐久性もバツグンです。その内容についてはかなり専門的な話になるので詳しくは述べませんが、普通のバッテリー、そして充電制御システム対応カーバッテリーと比べても段違いのつくりとなっているのです。
リッター1~2㎞の伸びが
価格の高さを解消してくれる
この高性能化が果たされたアイドリングストップ車用カーバッテリーの価格は、普通のバッテリーより高くなっています。
でも、これは仕方がないこと。これまでお話してきたとおり、アイドリングストップ車に普通のバッテリーを載せると悲鳴を上げてしまう・・・要はバッテリー上がりを起こしやすくなります。走れないのでは元も子もありません。「価格には訳がある」と納得いただき、アイドリングストップ車用カーバッテリーをお選びください。
ただ、どうか安心してください。たとえ一時的に出費が増えても総合的には懐は痛みません。アイドリングストップ車は燃費の節約効果が大きく、ガソリン消費を抑えられるからです。インターネットの書き込みなどでは、「それほど燃費の節約は期待できない」などの意見があったりしますが、そんなことは決してありません。
自動車整備の現場の感覚でいうと、アイドリングストップ車のガソリン1リッター当たりの走行距離は、同じ車格の普通のクルマと比べると、走り方にもよりますが1~2㎞ほど走行距離が伸びます。つまり、距離を走れば走るほど、その1~2㎞分の浮いたガソリン代が累積していき、やがてバッテリー価格の差額が解消されていくのです。逆にお得になる可能性さえ十分にあります。
ですから、ちょっと高いけれども、アイドリングストップ車用カーバッテリーを載せれば、クルマの性能がしっかりと発揮でき、総合的には金銭面での負担が少なくなり、かつ環境にもいい効果がでる・・・という訳です。選ばない手はないでしょう。というか、絶対に選ぶべきです。
というわけで、アイドリングストップ車にはアイドリングストップ車用カーバッテリーを!
そして、その交換は、どうぞお近くのロータス店で行ってください!
1 カーバッテリーは安心・快適なカーライフを支える「小さな巨人」です。
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お店紹介
大村モータース:機械を扱うことが得意だった大村金夫氏(初代)が、1940年、地域の自転車、バイク、オート三輪車、消防車などの修理・整備を行う整備工場を創業。その後、二代目の大村勤一氏(現会長)のもとで整備工場としての実力と規模を拡充。1975年の全日本ロータス同友会設立にあたって、メンバーとなる。現在は、三代目である山中剛氏が代表となり、「自動車の販売や点検・整備を通じ、社会を円滑に動かすファンベルトの役割をはたす」をモットーに日々の活動を展開している。
住所:岡山県玉野市田井1丁目3-17
電話:0863-31-1811(代)
HP:http://ohmura-m.com
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