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クルマのことならなんでもガイド
2019年4月9日更新
今月の達人
大村モータース・山中剛
実は、カーバッテリーの寿命は、クルマの使い方すなわちバッテリーの働かせ方によって伸びたり縮んだりします。今回は、カーバッテリーに良いクルマの乗り方をお話します。
10年間のカーライフの違いが
バッテリー1台分の差を生む!?
前回お話ししたとおり、安全・安心なカーライフを過ごすためには、「3年ごとのカーバッテリー交換」がセオリ ーです。
これは、カーバッテリーの寿命がおおよそ3年であることを前提として、寿命が尽きると突然プツっと電力供給が止まってしまう(=クルマを動かせない)というトラブルに見舞われないための予防策という意味を含んでいます。
ところで、「カーバッテリーの寿命はおおよそ3年」と「おおよそ」を付けてお話しているのは、カーバッテリーの寿命はクルマの使い方によって変わってくるからです。
バッテリーに良いカーライフを心がければ、バッテリーを常に良い状態に保てるため、総じて寿命は延びる傾向を示します。
逆に、バッテリーに悪いカーライフを送っていると、バッテリーは過酷な状態に置かれ、回復することができず、総じて寿命は短くなる傾向を示します。
どれくらいの差が出るか…これはクルマを使うお客さまによってさまざまなので、数字で示すことはできません。
ただ、たとえば10年くらいの期間を想定したとき、バッテリーに良いカーライフを心がけているお客さまが3回のバッテリー交換を行うとすると、バッテリーに悪いカーライフを送っているお客さまの場合は4回のバッテリー交換を行わなければならなくなる可能性があります。
10年間のカーライフの違いがバッテリー1台分の差を生むとなれば、これはかなり大きなことと言わざるを得ません。
インターネットなどの記事でも、カーバッテリーの寿命について書いたものを見ることがあります。多くは「バッ テリーの寿命を延ばす」というテーマで書かれていますが、自動車整備の現場にいる私からすると、注意していただきたいのは「バッテリーの寿命を縮める」ということです。
というのも、バッテリーの寿命を縮めてしまうお客さまは、ご自身ではそのようには思っていらっしゃらないからです。思ってもいないのに、バッテリーが早く尽きてしまう…そうなれば、誰しも「なんで?」と首をかしげたくなるでしょう。
この「なんで?」の解消をしたい!…自動車整備の現場で、私はときどきそんな思いにとらわれます。
クルマの使い方を
「充電」と「放電」で捉える
カーバッテリーの寿命とクルマの使い方の関連を考えるとき、「充電」と「放電」の実態を知ることが大事です。
「クルマのバッテリーは、走行中にはオルタネーター(発電機)によって充電されているんでしょ」と大雑把に捉えると…これが誤解の始まりとなります。
走行中、オルタネーターは発電しますが、いろいろな電装品に電力を供給し、加えてバッテリーにも充電する仕組みです。だから、しっかり走ってエンジンを回さないと「バッテリーにも充電」とはならないのです。
ちなみに、バッテリーを十分に充電するために必要なエンジンの回転数は、(クルマにもよりますが)2000~3000rpmですが、アイドリング時のエンジン回転数は1000rpm以下です。なので、エンジンがかかっていても、クルマを停めてアイドリング状態でいるときにはほとんど充電がされないとお考えください。
また、放電についていえば、クルマは乗らないで停めてある状態でもいろいろな電装品が電力を使っています。だから、「クルマを使っていないので、バッテリーも使っていない」というわけではなく、「クルマを使っていないと、バッテリーは放電しっぱなしになる」と考えてください。
最近搭載が増えているイモビライザー(盗難防止装置)などは、かなりの電力を消費します。
いくつかの状態を想定してみましょう。
■過多な電装品はないが、クルマにあまり乗らない → 充電不足
■「ちょっとそこまで」の“ちょい乗り”ばかり → 充電不足
■短距離の通勤の足。エアコンやオーディオはけっこう使う → 充電不足&放電過多
■新車を大事に乗っている(月に1回も乗らない) → 充電不足&放電過多
いかがですか?
「えっ、私、こういう乗り方です」という方がけっこういらっしゃるのでは?
こういうクルマの使い方は、実はバッテリーにすると過酷なのです。
たまには長距離を走り
しっかり充電しよう
では、バッテリーに良いカーライフとはどのようなものなのでしょうか?
以下にポイントをご紹介します。どれもカンタンにできることばかりなので、ぜひ実行してみてください。
◎クルマの使用を週単位で確認する
先述したように、バッテリーは使わなくても自然に放電してしまうので、定期的にクルマに乗って放電で減った電力を回復する必要があります。たとえば、「今週は乗ったかな?」と、週単位でクルマの使用状況を確認してみてください。「乗っていないな」と自覚できれば、毎週でなくても、2週に1回は「クルマで出かけよう」という気になるのでは?
◎30分~1時間程度は運転する
“ちょい乗り”や、短距離の通勤での利用が多いという方は、上記の週1回あるいは2週に1回の機会に、最低でも30分以上の走行を行ってみてください。信号での一時停止がない、高速道路を使ったロングドライブなどならさらに良いでしょう。
◎電装品が多いならバッテリー容量も大きくする
エアコンやライト類のほかに、大出力のカーオーディオ、ナビ、ドライブレコーダーなどを搭載し、しかもかなり使うという方。また、スマートフォンの充電を常にするという方。こうした使用状況の方は、容量の大きいバッテリーに載せ換えた方がよいかもしれません。
◎バッテリー上がりを起こさない
バッテリー上がりを起こしてバッテリーの電力が失われてしまうと、回復させるためにバッテリーに大きな負荷がかかり、結果的にバッテリーの寿命が短くなります。ランプの消し忘れやドアの閉め忘れなど、不用意な放電を招く状況にならないように注意しましょう。
また、次のような場合もバッテリーが弱っている場合にはバッテリー上がりになります。
例)近距離の迎えなどに出向き、長時間アイドリング状態でエアコンやオーディオ、ライト類などを使用し、その後近距離を戻って停車した。(放電状態が続き、それをオルタネーターでの発電で支えた状態でバッテリーに充電されなかった)
◎時々液の状態をチェックする
いまのカーバッテリーは、基本、メンテナンスフリーです。昔のバッテリーように、頻繁に液(希硫酸)のロウワー(最低容量)のレベルをチェックする必要はないし、精製水を足す必要もないとされています。ですが、ときにオルタネーターを制御しているコンピューターが壊れていたりすると、過充電状態となって液がぐつぐつと煮え立って減っていき、それがバッテリーに悪影響を及ぼすことがあります。ですから、時々液の状態をチェックするようにしましょう。できれば信頼のおける自動車整備工場などで定期的に点検してもらうと安心です。
カーバッテリーの寿命は、お客さま自身のクルマの乗り方次第であるということがお分かりいただけたでしょうか?
大事なおクルマのことを“愛車”といいますが、ぜひ、バッテリーにも愛を!
私の、心からのお願いです。
1 カーバッテリーは安心・快適なカーライフを支える「小さな巨人」です。
2 消耗品であるカーバッテリーは「3年ごとの交換」がセオリーです。
3 「3年ごとのカーバッテリー交換」は信頼できる自動車整備工場に任せましょう!
4 カーバッテリーの寿命はクルマの乗り方で変わります!
5 「バッテリー上がり」のときのベストの対処法をお教えします!
6 『充電制御車』には『充電制御車対応カーバッテリー』を!
7 『アイドリングストップ車』には『アイドリングストップ車用カーバッテリー』を!
8 次世代車の『補機用バッテリー』は腕とコスパのいいロータス店で交換を!
9 『新☆車生活』の利用は究極のバッテリーケアに繋がります!
お店紹介
大村モータース:機械を扱うことが得意だった大村金夫氏(初代)が、1940年、地域の自転車、バイク、オート三輪車、消防車などの修理・整備を行う整備工場を創業。その後、二代目の大村勤一氏(現会長)のもとで整備工場としての実力と規模を拡充。1975年の全日本ロータス同友会設立にあたって、メンバーとなる。現在は、三代目である山中剛氏が代表となり、「自動車の販売や点検・整備を通じ、社会を円滑に動かすファンベルトの役割をはたす」をモットーに日々の活動を展開している。
住所:岡山県玉野市田井1丁目3-17
電話:0863-31-1811(代)
HP:http://ohmura-m.com
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