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クルマのことならなんでもガイド
2019年4月9日更新
今月の達人
大村モータース・山中剛
前回の最後のところで「カーバッテリーはおおよそ3年経てば寿命がきて、プツッと電力供給が止まる」と述べました。今回は、このことについて少し踏み込み、定期的な交換の必要性についてもお話したいと思います。
化学反応しなくなったら即寿命
まず、「カーバッテリーの寿命」について、バッテリーの構造と仕組みを紹介する形で解説します。
ちょっと難しいかもしれませんが、バッテリーを知る上での基本なので、さらりとでも結構ですからお目通しください。
バッテリーは、内部にある極板(プラス極板&マイナス極板)に貼ってある鉛と希硫酸との化学反応で電気を起こしたり、充放電を行います。
言い換えると、バッテリーは、電気エネルギーを化学エネルギーに変換して一時的に蓄えておき、必要なときに必要なぶんだけ取り出すことができる装置であるといえます。
自動車に搭載されたバッテリーでいえば、エンジンが回ることで動くオルタネーター(発電機)で発生した電気を前述の化学反応によって蓄えます。そして、クルマの各部品・用品に必要なだけ電気を送っています。
しかし、時間の経過とともに鉛と希硫酸の状態は劣化します。そうなると十分な化学反応が起こせなくなり、十分な電力供給が行えなくなってしまいます。「バッテリーの寿命(がきた)」とは、こうした現象のことを指していいます。そして、それは3年目あたりで突然にやってきます。
つまり、カーバッテリーはだいたい3年目あたりで性能劣化が顕著になる“消耗品”であるととらえる必要があります。整備すれば長く使い続けられるような部品とは根本的に違う性質のものなのです。
多くのお客さまは
徐々に性能低下すると思いがち
ここで、ある中高年の女性のお客さまのトラブル例を紹介しておきましょう。
その方は、ある日の夕方、いつものようにクルマでスーパーに行きました。ところが、買い物を終えて帰ろうとしたところエンジンがうんともすんともいわなくなっていました。困ったお客さまは、「エンジンが壊れたみたい」と私のところに連絡し、助けを求めてきました。
急いで現場に駆けつけて調べてみたところ、エンジンの故障ではありませんでした。バッテリーが上がってしまい、そのためエンジンのスターターが回らない状態となっていたのです。
以前から「もう3年目に近いので、そろそろ交換時期ですよ」とお伝えしていたのですが、その方は「まだまだ大丈夫」と、バッテリーを交換しないまま日々の買い物などにクルマを使い続けていました。それ故、こういうトラブルに遭遇することになったのです。
結局、クルマをお店まで牽引していき、バッテリーを交換することになりました。そのとき、そのお客さまは「出発したときはちゃんとエンジンがかかったのに変だわぁ。バッテリーって、こんなに突然に切れちゃうものだったかしら。あ、もしかして壊れちゃったってことじゃないの?」と、納得のいかない顔で尋ねられましたが、いいえ、やっぱり寿命でした・・・・・・。
「突然プツッ」は高性能化ゆえ
実は、昔のクルマに積まれたバッテリーは、突然に電力供給が止まることはありませんでした。寿命が近づくと、徐々に電力供給が弱まり、エンジンの回り方によってヘッドライトの明るさが違ってくるとか、パワーウインドウの開閉が遅くなるとかのわかりやすい兆候が現れました。
でも、いまのクルマが積んでいるバッテリーはちがいます。寿命がくると、そうした前触れなしに、突然プツッとなってしまいます。
どうしてか?
最近のクルマが多電化していて負荷が大きくなっていることを踏まえ、各カーバッテリーメーカーは、そうした過酷な使用条件に耐えうることを前提とし、最後の最後までしっかりと電力供給できる方向で高性能化を図ってきました。そのため、寿命が尽きる寸前まで、カーバッテリーのパフォーマンスは落ちないのです。
だから、寸前まで元気なのに、何の前触れもなく、いきなりバッテリー上がりを起こします。決して性能がダウンしたわけではありません。逆に、クルマの多電化に応じた正しい進化の結果がもたらした現象なのです。
だから、BSユアサやパナソニックといった一流メーカーの高性能カーバッテリーであっても、3年目あたりでプツっとくることがあります。何かの事情で、廉価で性能が一段劣ったカーバッテリーで保証期間の短いのものを搭載していた場合などは、よくて3年、使い方によっては1~2年でもプツッときてしまいます。
というわけで、最近の多電化が進んでいるクルマに乗っている皆さん、載せているバッテリーがちゃんとしたメーカーの高性能なものであったとしても、「3年ごとに交換する」ことをセオリーとしてください。
それを習慣化することが、ある日の不穏な「突然プツッ」に遭遇することを回避する、もっとも正しい対応なのですから。
1 カーバッテリーは安心・快適なカーライフを支える「小さな巨人」です。
2 消耗品であるカーバッテリーは「3年ごとの交換」がセオリーです。
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お店紹介
大村モータース:機械を扱うことが得意だった大村金夫氏(初代)が、1940年、地域の自転車、バイク、オート三輪車、消防車などの修理・整備を行う整備工場を創業。その後、二代目の大村勤一氏(現会長)のもとで整備工場としての実力と規模を拡充。1975年の全日本ロータス同友会設立にあたって、メンバーとなる。現在は、三代目である山中剛氏が代表となり、「自動車の販売や点検・整備を通じ、社会を円滑に動かすファンベルトの役割をはたす」をモットーに日々の活動を展開している。
住所:岡山県玉野市田井1丁目3-17
電話:0863-31-1811(代)
HP:http://ohmura-m.com
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