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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2018年7月5日更新
CACCで繋がったトラック隊列が
極端に短い車間で新東名を走った!
「あと1分ほどでトラックがやってきます!」
寒風吹きすさぶ跨道橋で待機していた報道陣は、その声を合図に一斉にカメラを高速道路上に向けた。ゆるい右カーブを曲がりながら走行車線上に3台の大型トラックが姿を現した。
スピードはそれほどでてはいないが、3台の車間距離はかなり短かった。高速道路における車間距離は、時速100キロであれば100メートルが必要とされているが、わずか30~40メートルほどしかなかった。
事前に知らされていたところでは、先頭車両のドライバーは普通に運転操作をするものの、後続の2台のトラックはCACCというシステムで車間調整しているために、ドライバーはアクセルワークとブレーキングはまったく行わないとのことだった。つまり、極端に短い車間は自動制御の賜物だったのである。
レベル2とはいえ最新の自動運転技術で連なるトラックの隊列が、新東名高速道路という公道をほかの一般車両とともに走っている。この事実を目の当たりにし、われわれ取材班は驚きに近い感動を覚えた。遂にこういうことが現実に行われる時代になったのか、と。
経済産業省と国土交通省の主導の元、
4つのトラックメーカーが実験に参加
2018年の1月23日から25日まで、経済産業省と国土交通省の主導による「トラック隊列走行実証実験」という公道実験が実施された。
この実験は、CACC(コーペラティブ・アダプティブ・クルーズ・コントロール)という協調型車間距離維持支援システムで繋がった3台のトラックを、新東名高速道路の浜松サービスエリアと遠州森町パーキングエリアのあいだ約15㎞を隊列を組ませて往復させるというもの。三菱ふそうトラック・バス、いすゞ自動車、日野自動車、UDトラックスの4メーカーのトラックが使用車両となっていた。
「2020年度に無人の隊列を実現し、
2022年度には商業化をめざす」
1月23日午前11時、実験に先立って行われた現地説明会では3名の関係者が実験の概要について語った。
まず、経済産業省 製造産業局 自動車課 ITS・自動走行推進室の垣見直彦室長が全体像を説明した。
「(既に欧州などでは同メーカーのトラックがCACCを搭載して隊列を組んで公道を走る実験が行われているが)異なるトラックメーカーが製造したトラックを用いてCACCによる実験を行うというのは、公道では世界初となる」
「(今回はハンドリングは有人で行うが)2019年の1月に無人で走ることができる隊列走行を、安全保安要員を乗せる形で高速道路上で実証実験する。その後は、2020年度に新東名で無人の隊列を実現させる。その上で、早ければ2022年度に商業化をめざす」
「なお、今回の実証については、特段の法規制の緩和などは必要なかった。ただ、来年の1月の実証実験をするためには、車間距離とか全体の長さの問題(全長規制25メートル)とか、いくつか法規制があり、それを国土交通省や警察庁のほうに今年の10月までに緩和をしていただくということになっている」
「実用化された暁には
ドライバー不足の問題などが解消できる」
実験を経たのちの将来的に実用化されたときのメリットについては、国土交通省 自動車局 技術政策課 国際業務室の佐橋真人室長が次のように述べた。
「現在のトラック業界はドライバー不足という問題を抱えている。(今回は有人で実験を行うが)後続車両が無人のトラックの隊列走行というのは、この問題を解消し、トラック業界の生産性向上に繋がるものと考えている」
(経産省の垣見直彦室長の追加発言:トラックが車間距離が短い状態で隊列をつくって走ると空気抵抗が減るので燃費低減が期待できるし、道路が効率的に使えるというメリットもある」)
「ACCに通信機能を付加したCACCは
変動の少ない車間距離維持が可能」
実験に使用するトラックに搭載したシステムについての説明は、日野自動車株式会社 技術研究所の榎本英彦所長が行った。
「すでに各社のトラックにはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)と呼ばれる装備がされている。これはミリ波レーダーやカメラを用いて車間距離を一定に保ち、アクセルやブレーキの操作をすることなく追従走行できるものとなっている」
「今回、4社で共同開発したシステムはCACCといい、ACCの頭にC(コーポラティブ:協調型)がつくものとなっている。すなわち、通信で先行車の制御情報を受信して、加減速を自動に行えるようにするシステムで、従来のレーダーやカメラだけの車間距離維持機能よりも変動を少なくして制御が行うことができ、多少、クルマが混雑した状態になっても制御をつづけることができる」
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