ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

「東京モーターショー2017」ルポ(4) スズキは現実路線のなかでEV開発を進める!

2017年11月14日更新

★Sブースweb

第45回東京モーターショー2017のルポ第四弾では、ロータスクラブの提携企業であるスズキのEVコンセプトカーについて見ていきたい。

いきなりEVの
コンパクトSUV!

現在スズキは、マイルドハイブリッド技術を導入するなどしながら低燃費とコストパフォーマンスを両立させた軽自動車を数多く世に送りだしており、クルマに現実的なメリットを求めるたくさんのユーザーから支持を得ている。今回のモーターショーでも、展示車のほとんどは、そうした路線の現行車ならびに近日発売予定のもので占められていた。

スズキ_スペーシアweb

だが、そんななか、異彩を放つコンセプトカーがステージ上に展示されていた。それは超個性的なコンパクトSUVで、純粋なるEV。e-SURVIVOR(イー・サバイバー)という、「電気で生き残る者」と訳せる意味深な名前が付けられていた。

スズキの個性的なコンパクトSUV e-SURVIVOR

スズキの個性的なコンパクトSUV e-SURVIVOR



近未来的で大胆なデザインゆえに、われわれ取材班もかなりの好印象をもつに至った。しかし、独自の現実路線を歩むスズキがはたして本気でこうしたエッジの効いたEV開発に乗りだすのかどうか、正直、社長の話を聞くまではなんともいえないところがあったのも事実だ。

つぎの100年に向け
電動化技術を加速

プレスデーの午前中、スズキの鈴木俊宏代表取締役社長がステージで挨拶を行った。そのなかの言葉を拾いながら、e-SURVIVOR開発への本気度を探ってみることにしよう。

スズキの鈴木俊宏代表取締役社長

スズキの鈴木俊宏代表取締役社長



まずは、これからのスズキのクルマづくりの基本姿勢について。

「スズキのテーマは『ワクワクを、誰でも、どこへでも』。このテーマを選ぶにあたり、改めてクルマとはなにか、乗り物とはなにかを考えました。移動のため、仕事のため、遊び道具など、使い方は人それぞれちがいます。しかし、一台一台の役割はちがっても、乗り物は常に人をワクワクさせるものでないといけません。今回のモーターショーでは、次の100年に向けて、さらに安全で、乗る人すべてをワクワクさせたい、そんな想いを提案しています」

「スズキは2020年に創立100周年を迎えます。次の100年に向けて、わたしたちは電動化技術、環境技術、安全技術、情報技術など、先進技術への取り組みを一層加速させていきます」

そして、e-SURVIVORへの言及。

「未来のコンパクトSUVのe-SURVIVORは、スズキがジムニーやエスクードで培ったコンパクトSUVの魅力を継承しながら、次世代に向けて提案するEVのコンパクトSUVです。スズキの伝統である走破性はそのままに、ラダーフレームの軽量コンパクトボディを組み合わせ、前後四つのモーターで駆動。新たな4WDの可能性を提案しています」

ジムニーやエスクードで培ったコンパクトSUVの魅力を継承

ジムニーやエスクードで培ったコンパクトSUVの魅力を継承



発言からは、今後、スズキが自社のクルマに電動化技術を導入していくという姿勢が伝わってきた。また、EVコンセプトカーにコンパクトSUVを選んだのは、ジムニーやエスクードの系譜があるからで、それほど突飛な選択ではないということもよくわかった。どうやらスズキも、EV開発に本気で取り組む方向に舵をきったようだ。

それでは、いったいいつ、EVそしてe-SURVIVORを開発・販売するのか・・・だが、発言内容を検証すると、実現するにしても、おそらく創立100周年を迎える2020年以降になるのが妥当なラインのように思えた。

ただし、ユーザーの現実的なニーズに敏感なスズキである。世の中のEV欲求が想定以上に早く高まることになれば、e-SURVIVORではないにしても、リーズナブルなEV開発と販売を早める可能性は大いにあるのではないだろうか。そのあたりについての言及はなかったものの、鈴木社長は挨拶の最後で、それを示唆するようにこう締めくくっている。

「先進技術への取り組み、いまある技術のさらなる向上、その二点を磨き上げ、どのような時代を迎えようと機敏に対応し、常にお客さまにワクワクを提供できる、そんな会社でありたいと考えています」

熟成した先端技術を
上手に導入する姿勢

なお、スズキのブースには、今後の技術開発の三つの方向性に沿ったコーナー展示がなされていた。

一つ目は、もっと気持ちよくをテーマにした「スマートデバイスリンク」。二つ目は、もっとスマートにをテーマにした「電動化技術」。三つ目は、もっと安心・安全にをテーマにした「Safety Support」。

★S方針web

正直、どれも斬新さには欠けていた。ただ、スズキは、少し時間が経って熟成され信頼度が増した先端技術を廉価な状態で導入することを重視しているところがある。それこそが現実的にユーザーのためになるからだ。この展示はその姿勢を顕著に示すものと捉えれば、それなりに納得ができる内容といえた。

やがて、具体的なEV技術が、AI技術が、こうしたスズキのブースに普通に展示されるようになる日が必ずやってくるだろう。それは、きっとEVそして自動運転車が当たり前のものとなりつつある時期に重なるにちがいない。スズキの展示すなわちリアルさの証明ということ。次回のモーターショーか、次々回かを、楽しみに待とう。

(文:みらいのくるま取材班)

(1)EV未発売メーカーも電動化に本腰!
(2)リアルさ満点のEVコンセプトカーたち!
(3)三菱は小型車からSUVまでEV化をめざす!
(4)スズキは現実路線のなかでEV開発を進める!
(5)新エコタイヤはEVのよさを加速させる!

関連キーワード

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • BookReview(23)『2021年版 間違いだらけのクルマ選び』 – コロナ禍の影響? 「走り一辺倒」だった著者がスズキのハスラーを高く評価!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    BookReview(23)『2021年…

    エクリプスクロスPHEVが試乗なしで紹介されている毎年恒例の一冊の2021年版。今回は著者・島下泰久氏も書き上げるのが大変だったようだ。なにせコロナ禍であ…

    2021.01.28更新

  • ALL JAPAN EV-GP SERIES 2023 第6戦レポート(5)―個人参戦でも戦える!2人のモデル3オーナーが入賞圏内でフィニッシュ!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    ALL JAPAN EV-GP SERI…

    X(旧Twitter)でつながるテスラ車オーナーたち。今回、その中から2人のドライバーがEVレースに初参戦した。ともにレース未経験で完走が目標だったが、2人と…

    2023.11.08更新

  • 【ルポ】日本EVクラブ『電気自動車EVスーパーセブンで東北被災地を巡る旅』①・・・「全国にEV給電ネットワークをつくるのが僕の夢」(舘内端)

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    【ルポ】日本EVクラブ『電気自動車EVス…

    一般社団法人日本EVクラブ(以下、日本EVクラブ)は、2018年5月17日から31日まで『電気自動車EVスーパーセブンで東北被災地を巡る旅~元気と電気を届け…

    2018.06.26更新

  • 第27回 日本EVフェスティバル レポート③ ―「百万台EVプロジェクト」で、楽しく地球温暖化対策に乗り出そう!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    第27回 日本EVフェスティバル レポー…

    日本EVクラブの舘内端代表は、今回の日本EVフェスティバルのパンフレットに「地球温暖化は私です」という一文を寄せていた。そこには、こんな記述がある。「世界の…

    2021.12.09更新

  • ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第6戦レポート①【予選】―爆速のシャオミSU7Max初見参も、プラッドのKIMI選手が楽々とポールを獲得!

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    ALL JAPAN EV-GP SERI…

    EVは、アクセル全開で長い距離を走り続けると、バッテリーが過熱して損傷をきたす恐れがある。そのため各メーカーは、自社のEVに、バッテリーが一定の温度を超えたら…

    2024.11.07更新

  • 武蔵精密工業「EVモータースポーツ部」の挑戦(前編)―「Go Far Beyond!」EVレース参戦は会社の枠を壊す冒険のひとつ

    みらいのくるまの「ただいまのところ」情報

    武蔵精密工業「EVモータースポーツ部」の…

    武蔵精密工業株式会社は、パワートレインと足回りの部品開発・製造に強みを持つ世界トップクラスの自動車・2輪車部品メーカーだ。同社の部活動のひとつにEVモータース…

    2023.11.30更新

< 前のページへ戻る