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Book Review④ 楽しくエコカーの基礎が学べる『エコカー技術の最前線』(後編)

2017年10月6日更新

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ハイブリッド車やEVは
5年でバッテリー交換も

前編で挙げた、3つの視点に基づく記述を紹介していこう。まずはバイヤーズガイド的な記述例――。

〈日本で圧倒的に人気なのはハイブリッド車です。それはどんな状況でも安定して燃費がよいからです。ハイブリッド車とEV以外のエコカーは、ノロノロと走る渋滞では極端に燃費が悪化する傾向があります。普段は買い物や近県へのドライブ程度でも、年に数回の帰省では長距離走行で、なおかつひどい渋滞にもあうような人にとっては、ハイブリッド車が便利なクルマといえるでしょう。また「とにかくガソリン代をこの先心配したくない」という不安解消型の人や、「乗り回す愛車には、ある程度の車格が欲しい」という人にとっても、ハイブリッド車は魅力的な選択です〉

〈ハイブリッド車やEVは、経年劣化によるバッテリーの容量低下が起こるため、5年以上経過したモデルにはバッテリー交換の必要性が生じることがあります。この場合、バッテリー交換の費用は、バッテリーの容量に比例しますから、ハイブリッド車よりEVのほうが高額になるのは間違いありません〉

ハイブリッド車は燃費がよくて、EVは燃費がゼロ。ただし、どれも、バッテリーの交換が発生することを視野に入れて購入を検討すべし、ということだ。

EVのバッテリーが上がったら
充電施設に搬送されるだけ

つぎに「いまさら聞けないギモン」にズバリ答えている記述例――。
〈(EVのバッテリーが上がったらどうなる? とうギモンに対する答)バッテリーが完全に放電してしまったら、EVはまったく動きません。ガス欠ならぬ電欠です。ガソリン車の場合は、ガス欠時はJAFなどのロードサービスに依頼することで10L程度のガソリンを補給してもらえますが、EVの場合は充電施設までの搬送となります。(中略)一般的なガソリン車のバッテリーが上がったときのように「直接EV同士を接続すればいいのでは?」という考えも浮かんできそうですが、それは非常に危険なのです。どのくらい危険かというと、直接接続すると、バッテリーが燃えて自動車火災になる可能性があるほどです〉

〈(発電できる燃料電池車がなぜバッテリーを搭載する?というギモンに対する答)燃料電池車の発電能力が最大電力消費量(たとえば全開加速)に合わせてあれば、日常的な走行では余剰が生じます。とはいえ、場合によっては急加速で、突然大きな電力が必要になることもあります。このとき、瞬時に燃料電池で電気をつくり、モーターへ供給するのは困難です。ドライバーがアクセルを踏んだ瞬間に間髪を入れずに反応するためには、電気を貯めておく必要があるのです〉

直接EV同士を接続するのは危険とは初耳だった。そして、燃料電池車は、電気をつくる&電気を貯めて走るクルマなんだと改めて確認できた。

究極の空力を考えれば
スタイリングは似てしまう

最後に、エコカーに関する意外な豆知識の記述例――。
〈以前、「トヨタのプリウスとホンダのインサイトのスタイリングが似すぎている」と話題になったことがありました。しかし、空気抵抗の軽減を追求していくと、フォルムが近付いていくのは当然の帰結なのです。(中略)自然の摂理と同じです。つまり、クルマの正常進化形がハイブリッド専用車のスタイリングなのです〉

〈普通のガソリン車にもモーターは搭載されています。エンジンを始動させるためのセルモーターです。ハイブリッド車の場合、エンジンの始動は強力な走行用のモーターが兼ねるので、セルモーターは搭載しません。そのほか、クルマにはワイパーを駆動するモーターやドアのサイドウィンドウを開閉するモーター、メーターの針を動かすモーター、冷暖房の風をつくり出すファンのモーターなど、大小さまざまなモーターが搭載されています〉

それぞれ、けっこう笑えた。ガソリン車にもモーターがあったこと、いまさらながら気がついた。

そう、なんどもいうが、この『エコカー技術の最前線』は、外見とはちがって、楽しくわかりやすくエコカーの基礎が学べる本なのである。真にわれわれ一般ユーザーことを考えて書かれている。巷にあふれる途中で読むのをやめたくなる堅くて難解なエコカー本とは一線を画している。ぜひ、ご一読されたい。(文:みらいのくるま取材班)


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『エコカー技術の最前線』
・2017年1月25日発行
・著者:高根英幸
・発行:SBクリエイティブ
・価格:1,000円+税

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