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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第6戦レポート②【決勝】―王者の帰還。モデル3の地頭所選手がラスト1周で大逆転ウィン!

2024年11月9日更新

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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 最終戦の決勝は、日が傾きはじめた16時にスタートした。

夕日に赤く映えた各車両は、その美しさを誇示するかのように、我先にと激しい競い合いを繰り広げた。

特にトップ争いは激闘の連続となった。

燃え尽きるまでの激走

激闘その一は、KIMI選手のモデルSプラッドと地頭所選手のモデル3の一騎打ちだ。

スタート直後から中盤にかけて、1位KIMI選手、2位地頭所選手の順でテールトゥノーズ、サイドバイサイドの競り合いが続いた。

両車とも後半に熱ダレしないよう、アクセルの踏みを抑え気味にしているはずなのだが、そうとは感じさせないほどの高速バトル。

今シーズン最多となった観衆は、現チャンピオン、そして元チャンピオンによる見事なドライビングに酔いしれた。

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激闘その二は、アイオニック5Nを駆るCHOI選手の猛烈な追い上げだ。

ピットからの最後尾スタートとなったCHOI選手だったが、1周目から前をゆく車両を次々と抜き去っていった。

まさにごぼう抜きだった。

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その勢いは一向に衰えず、7周目に3位、さらに13周目には地頭所選手のモデル3までもパスして2位に浮上。前戦に引き続きKIMI選手とのトップ争いのシーンをつくっていった。

これぞ鬼神の走りか。5Nのポテンシャルの高さ、プロドライバーCHOI選手の操舵の巧みさを、観衆に嫌というほど見せつけた。

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しかし、CHOI選手の猛烈な勢いも20周目にして唐突に終わる。

熱ダレが起き、スローダウンを余儀なくされ、24周目にして地頭所選手に抜き返されてしまう。

最後尾スタートから全開の攻めを続けたのだから無理もない。当然といえば当然の帰結であった。

もしかして、チームもドライバーも熱ダレのことを考えないまま走っていたのだろうか?

答はイエスでありノーでもあった。

レース後、3位に終わったCHOI選手に話を聞いたところ、初参戦となった前戦と今戦もとにかく全開走行を続け、どこで熱ダレするかを探っていたらしい。来季は、そのデータを基に理想のペース配分を導き出し、全戦で優勝を狙うとのことだった。すなわち、無策と見える走りには、長期的視野での戦略が潜在していたのだ。恐るべしヒョンデのセミワークスチーム・KMSA MOTORSPORT Nである。

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CHOI選手がトップ争いから離脱したことで、ついにKIMI選手の独走態勢ができあがった。

もはやチャンピオンKIMI選手の最終戦の優勝は揺るぎないものと思われた。

ところがところがである。

ゴールまであと1周となった29周目。なんとKIMI選手のプラッドまでもが突如スローダウン。じわじわと盛り返してきていた地頭所選手に、30周目にしてトップの座を譲り渡す事態となった。

やはり熱ダレが原因か?

最終的に2位でレースを終えたKIMI選手に話を聞いたところ、スローダウンはバッテリーの過熱によるスピード抑制ではなく「原因不明の加速制御が働いた結果」だった。もしかするとモーターなどの駆動系の過熱ということも考えられた。実際、センターパネルにはバッテリーの過熱を示す赤色表示ではなく、単に加速できないことを示すカメのマークが映し出されていたという。

「ピットの指示に従ってほぼ完璧なペース配分をしていた」だけに、KIMI選手にとっては非常に悔しい結果となった。

とはいえ、このスローダウンは、序盤から続いた激闘で少なからぬ無理を重ね、何らかの支障をきたした結果とも考えることができる。そもそもレースにトラブルはつきもの。EVに限らず、勝つのはそう簡単ではない。

頭脳戦略による勝利

激闘その三は、モデル3パフォーマンスの地頭所選手の大逆転勝利だ。

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地頭所選手は、トップ2台がスローダウンしたことで、最終周でトップを奪取。そのままチェッカーを受け、1年ぶりとなる優勝を決めた。

これは単なる棚ぼた勝利と思われるかもしれないが、さにあらずだ。

実は、地頭所選手とピットのスタッフは、事前にレースの流れを読み切っていた。例えばCHOI選手が自身を抜いて2位に上がったとき、無理に追わなかったのは、「最後尾から全開で走り続けたCHOI選手は終盤に必ず熱ダレで失速する。トップのKIMI選手も追われて無理な走行を続けることになるから、同じくスローダウンするに違いない。バッテリーを酷使せず力を余して終盤に勝負に出よう」と考えていたからだ。結果、それが見事に当たり、大逆転の優勝となったのである。

プラッドと5Nに劣る自車のポテンシャルをギリギリまで絞り出すドライビングを継続しながら、目には見えない頭脳戦にも成功していた地頭所選手。棚ぼたではなく、総合的に攻め続けた末の必然の勝利なのであった。

レース後、地頭所選手は、こう言って勝ちどきを上げていた。

「これぞEVレースの勝ち方というのを見せられた。これはWIKISPEEDの記念すべき1勝。これから100勝目指して頑張りたい」

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なお、4位入賞はモンド選手。同選手も見逃せない激闘を演じた。

スタート直後は、パワーに勝る柴田知輝選手のアイオニック5N(#45 ジゴワッツレーシング/EV-1クラス)に先行を許したものの、相手に熱ダレが出た26周目でオーバーテイク。さらには、やはり熱ダレでスローダウンしたTAHARA選手のモデル3パフォーマンスを27周目でオーバーテイクしている。

「終盤、僕もバッテリーを予定より多く使っている状態だった。それはよくわかっていたのだが、2台が目の前にいたので、リスクを承知でアクセル全開の勝負に出ることにした。そしたらうまく2台とも抜けて4位に入賞することができた。今日はいつもより頑張ったレースができたと思う(笑)」

そのアグレッシブ&クレバーなレース運びは、地頭所選手のそれと酷似していた。文句のつけようがない堂々たる4位入賞といえた。

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また、注目のシャオミSU7Maxを駆る山本シンヤ選手も激闘といっていい走りを披露した。

ブレーキに不安を抱えながらも目標どおりに見事完走。それどころか、初参戦でEV-Pクラス2位入賞という快挙も遂げている。

「決勝前に急遽ブレーキパッドを交換したけど、それも持つかどうかの不安があった。なのでコーナーでは結構手前からアクセルをオフにして曲がったりしていた(笑)。それでなんとか完走と2位入賞が果たせた次第。大変だったけど上出来だろう。ちなみに、バッテリーは最後まで過熱しなかった。データをよく見てみないとわからないが、前評判どおり、熱ダレしにくい特性があるような気がする」(山本選手)

完走により理想的な測定ができたことを心底喜んでいたのは、チーム代表の加藤元章氏(小野測器メディア&デザイン室長)。氏は笑顔を見せつつ今後の参戦方針について教えてくれた。

「今回の参戦はSU7Maxのバッテリー性能の良し悪しを測ることが目的だった。それが達成できたので、再びこの車両でレースに出ることはないだろう。しかし、極限状況におけるデータ取得の有用性が確認できたし、勝敗をかけたレースの場におけるデータ取得という行為がスタッフたちに想像以上の刺激を与えることがよくわかった。今後、われわれは引き続き新しいEVを入手し、データ取得に努めるが、速くて興味深いEVを手に入れたら、きっとまたこのレースを走らせることになると思う。そのときをぜひ楽しみにしてお待ちいただきたい」

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夕闇迫る中、レースを見終えた観衆たちの表情が赤かったのは、西日の残照のせいだけではない。

それは興奮からくる火照りでもあった。

誰かがぽつりと漏らした。

「すごく面白かった」

今レースは、この一言に尽きる。

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ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第6戦レポート

①【予選】爆速のシャオミSU7Max初見参も、プラッドのKIMI選手が楽々とポールを獲得!

②【決勝】王者の帰還。モデル3の地頭所選手がラスト1周で大逆転ウィン!

③【表彰式】初の戴冠。シーズンを通して圧倒的強さを見せたKIMI選手に100人が大拍手!

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