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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2024年10月15日更新
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第5戦の決勝では、4位争いの場でもヒョンデとテスラの対決が見られた。
ヒョンデの1台は、初参戦の柴田知輝選手が駆るアイオニック5N(#45 ジゴワッツレーシング)。
テスラの1台は、今季好調を維持するモンド スミオ選手が駆るモデル3RWD(#55 Mond Coffee)。
この両車が期待以上の接戦を繰り広げた。
レース未経験でも速い5N
予選では、モンド選手のモデル3RWDが2分07秒344で4番手に入り、柴田選手の5Nはそこから約3秒遅れの2分10秒402で5番手となった。
モンド選手のクルマは足周りやシートなどがレース仕様になっている上、自身のレース経験も豊富。片や柴田選手のクルマは、タイヤ以外はすべてノーマルだし、自身のレース経験はゼロ。それを考えれば、順当な結果といえた。
ただ、5Nのモーター出力が478kWのところ、シングルモーターであるモデル3RWDのそれは202kW。倍以上ものパワー差がある。この事実を加味すれば、高速コースにおける長丁場の決勝は必ずしもモンド選手が有利とはいえそうになかった。
事実、柴田選手はこんな言葉で5Nのすごさを語っていた。
「今回のコースをシミュレーターで練習してきたが、予選で5番手のいいタイムが出せたのは、他車より大きいパワーがあって速かったことと、挙動の崩れを直してくれる優れた挙動制御装置があったおかげだ。とにかくアイオニック5Nは速くて賢い1台。決勝も、クルマ任せにすればきっとしっかり走り切れると思う」
レース未経験者にも望外の結果をもたらす最新の5N。旧型でパワーも小さいモデル3RWDを駆るモンド選手にとっては、決して侮れない相手なのであった。
序盤で5Nがオーバーテイク
実際、決勝ではアイオニック5Nが、しょっぱなからポテンシャルの高さを見せつけた。
なんと、2周にして柴田選手がモンド選手をかわして前に出たのだ。モンド選手がミスしたわけではない。明らかにパワーの違いが如実に出たオーバーテイクであった。
しかも、車両の挙動も本当にレース未経験者なのかと思わせるほどパーフェクト。柴田選手は、その状態のままレース中盤まで後続に追撃を許さない走りを力強く続けていった。柴田選手とモンド選手との差は10秒ほど離れていった。
モンド、感動の初バトル
レースが終盤に差し掛かっても、この4位柴田選手、5位モンド選手という順に変化はなかった。
それを見て、「4位は柴田選手で決まりだろう」と予想した。
5Nが想像以上に速いということもあったが、基本的にモンド選手が熱いバトルをしない選手だったからだ。
昨シーズンの最終戦以降、モンド選手は全戦で上位入賞を果たしている。それは、同選手特有のクールでクレバーな走りのたまものといえるのだが、一方で参戦車両の巡り合わせに恵まれた結果というところも少なからずあった。パワーの大きい車両が多くない中でマイペースで淡々と完走したら自然と入賞していたというケースがほとんど。前をゆくパワフルな車両を強引にテイクオーバーして入賞を勝ち取ったことは一度もなかった。
そんなモンド選手ゆえ、今回も強力な先行車両とバトルするリスクを冒さぬまま5位でフィニッシュするのではないかと思われた。
しかし、この読みは完全に間違っていた。
驚いたことに、モンド選手はラスト2周になったところで猛然とダッシュをはじめた。
そして、その勢いのまま最後の1周で柴田選手の5Nに荒々しいオーバーテイクを仕掛けた。
モンド選手はそれを見事に成功させ、自身の年間総合2位の確定に花を添える4位フィニッシュを果たした。
想像だにしない展開。予想を大きく外した分だけ、感動は大きかった。
モンド選手、コングラチュレーション!
初バトルを制し、レースをいい形で終えたモンド選手に話を聞いた。
「序盤からインフィールドでは勝る感覚はあったが、レース自体のペースがいつもより速かったのでブレーキがきつく、なかなか追いつくことができなかった。だけど、全体のペースが落ちる終盤になった段階で、僕のほうのバッテリーには十分に余力があったし、残り2周の段階で前との差が6秒に縮まってもいたので、これはもう行くしかないと思い、ラスト1周の全力バトルに命運を賭けた。そしたら、なんとかうまくオーバーテイクに成功し、4位入賞を果たせた。パワーが大きい5Nに勝てたこともあって、これまでで一番記憶に残るレースになった。非常に嬉しい」
貴公子から戦士へと変身したモンド選手。来季はもっとパワーの大きなクルマに乗り換えて、より高いレベルの戦いに挑むつもりなのだという。同選手が、優勝争いの場でも感動的なバトルを披露してくれることを大いに期待したい。
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