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2024年10月15日更新
革新的なEVの登場でレースは劇的に変化する──。
9月28日(土)、富士スピードウェイで開催されたALL JAPAN EV-GP SERIES 第5戦「全日本 富士 EV 55㎞レース大会」(4.563㎞×12周)に、ヒョンデのハイパフォーマンスEVであるアイオニック5Nが3台初参戦した。
5年あまりにわたりテスラ車が他車を圧倒していたレースは、これによりガラリと様相を変えた。
1分55秒前後の競り合い
今シーズン4連勝中のテスラ モデルSプラッドのモーター出力は750kW。一方、新参戦のヒョンデ アイオニック5Nのそれは478kW。パワー面では明らかにプラッドに分があった。
だが、予選から両車の戦いは熾烈を極めた。
ールポジションは、順当というべきか、ホームストレートを300㎞/h超えのスピードで走ったプラッドのKIMI選手(#23 GULF RACING)が獲得した。
タイムは1分54秒454。これは、2021シーズン第1戦(富士スピードウェイ)の予選で、ポルシェタイカンを駆るKUNI選手(GULF RACING)が出した1分54秒882を上回るレコードタイムとなった。
しかし、そのポールもぶっちぎりではなかった。
CHOI JEONG WEON(チェ・ジョン・ウォン)選手の5N(#3 KMSA MOTOR SPORT N)も大健闘。KIMI選手に遅れることわずか1秒少々の1分55秒726のタイムで2番手ポジションを決めている。
国内随一の高速コースである富士スピードウェイのタイムアタックで、5Nがプラッドに肉薄するとは驚き以外の何物でもなかった。ドライバーの力量もあるだろうが、5Nの走行性能がうわさ以上のものであることがはっきりと伝わってきた。
続く予選3番手は同じく5Nを駆る小峰猛彦選手(#22 モタスポ.Net☆レーシングプロジェクト)。CHOI選手から3秒あまり遅れたものの、2分を切る1分59秒247の好タイムを出している。今回の優勝争いでは伏兵的な存在とはいえ、プラッドの強敵になる可能性は決して小さくないと思われた。
5Nは裏セクターが速い
上位3名に決勝への意気込みを聞いた。
ポールのKIMI選手は、今戦で6位以内に入れば初の年間総合チャンピオンが決定する。そのため、ピットにサポートで入っているスエヒロ自動車商会(昨季まで参戦していた強豪チーム)の監督であるModel3 Life!氏からは、「6位以内完走を目指して安全運転に徹すべし」と抑制方向のアドバイスがあったという。
今シーズンは監督の言うことを聞いて勝ってきているだけに、基本的には監督のアドバイスを尊重しているKIMI選手。しかし、この日は耳を傾けるつもりはまったくなさそうだった。
「ホームストレートは僕のプラッドが速い。裏セクターはCHOI選手の5Nが速い。僕は、この強敵と楽しくトップ争いがしたい。それをやった上でチャンピオンを決めたいんだよね(笑)」
2番手となったCHOI選手は、ヒョンデのセミワークスであるKMSA MOTORSPORT Nに所属する実力派プロドライバー。今季のツーリングカーレースTCRJでは何度も優勝を遂げている。
今回、EVのアイオニック5Nで富士スピードウェイを走るのは初めてだったため、予選では様子を見がてら余力を残して走行したという。
「僕が乗るアイオニック5Nはタイヤとホイールだけレース仕様で、あとはノーマル。だけど予選走行でポテンシャルの高さがしっかりと実感できた。決勝は100%の走りをすればきっと勝てるだろう。そうなると、KIMI選手の全戦優勝を阻止することになるわけだが、それについては、ごめんなさいと言うしかないね(笑)」
3番手の小峰選手は、すでに今シーズンの第2戦(筑波サーキット)にアイオニック5で初参戦している。今回は、新たにアイオニック5Nに乗り換えての出走である。
CHOI選手の車両とは異なり、こちらはタイヤも含めて完全ノーマル。予選ではタイヤの内圧の上昇によるバランスの崩れに悩んだものの、総体的には想像以上のいい走りができたようだ。
「アイオニック5Nは完全ノーマルでもかなり速い。さすがヒョンデ渾身の1台だ。だけど、決勝では上位の2台に追いつくのは難しいだろう。3位になれたらラッキーという感じかな(笑)」
果たして初参戦のハイパフォーマンスEVは、常勝テスラ車の牙城を打ち崩すことができるのか!?
ALL JAPAN EV-GP SERIES 2024 第5戦レポート
①【予選】プラッドのKIMI選手が5NのCHOI選手に1.2秒差をつけポールを獲得!
②【決勝】小峰選手が完全ノーマルの5Nで初優勝。プラッドのKIMI選手の全戦優勝を阻止!
③【4位争い】戦士となったモンド選手が5Nとのバトルを制し、テスラ勢の面目を保つ!
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