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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2024年8月28日更新
KIMI選手は、決勝のスタートで第1戦、第2戦と続けてミスを犯している。
今シーズン、スタートに成功したのは第3戦だけだった。
今戦の決勝スタートで、KIMI選手が2番手グリッドにいたTAKAさん選手に先行を許したのは、だから、いつもの失敗癖が顔を出したのかもしれない。
一方、決勝前の発言を考慮するならば、楽しくトップ争いをしたいがためのKIMI選手の半ば意図的なスロースタートであった可能性も否定できなかった。
どちらなのかはわからない。
いずれにせよ、ホールショットはTAKAさん選手が獲った。KIMI選手、そしてモンド選手は、近接しながらそれを追うこととなった。
レース序盤、かすかではあったが、パワー下剋上が見られるかもしれないとの期待が高まった。
KIMI選手が
事実上の年間王者に!
しかし、パワー下剋上への期待は、レース中盤であっさりと霧散する。
ノーマル仕様のモデル3パフォーマンスを駆るTAKAさん選手は、全力で走ってもKIMI選手のモデルSプラッドを振り切れなかった。
そんな状況が続く中での6周目、それまで力を余しながら走っていたであろうKIMI選手は、そろそろ攻めないと優勝が危うくなると感じたか、望んでいたトップ争いはもう十分に楽しんだと判断したか、いきなり速度を上げる挙に出て、するするとトップの座を奪い返した。
そして、そのままTAKAさん選手をぐんぐん引き離し、ゴールまでの単独クルージング態勢へと入っていった。
こうなったら出力数の小さい後続車に、もはや打つ手はなかった。
終わってみれば、KIMI選手が予想どおりに楽勝のレース運びで優勝。負けなしの4連勝となり、事実上初の年間総合チャンピオン獲得も決めている(レースの規定で表彰対象となるには全6戦中5戦の参戦が必須となっているため、次戦に参戦すれば正式にチャンピオンが確定する)。
レースを終えたKIMI選手のプラッドのバッテリー残量は20%以上もあった。まさに余裕の勝利といえた。
ちなみに、TAKAさん選手が2位に落ちたことで、3位のモンド選手とのバトルがはじまるかと思ったところ、上位2台に食らいつくためにいつもよりアクセルを多く踏み過ぎていたモンド選手の車両は、終盤にきて電欠気味となりスローダウン。その実現も叶わなかった。
結局、1-2-3位争いは、最後まで白熱のバトルがないまま終わることとなった。仕方がない。同じテスラ車といえども、それぞれのパワーに差があり過ぎた。
残り2戦。そのうちのどこかで、モデルSプラッドを大幅に上回るモーター出力1427kWのリマック・ネヴェーラと、モデル3を凌ぐモーター出力478kWのヒョンデ・アイオニック5Nが参戦してくるといううわさがある。それが実現すれば、白熱の上位争いが繰り広げられることになるのだろう。楽しみに待ちたい。
パワー下剋上は
4位争いの場で実現
上位争いが白熱しなかったからといって、レース全体が面白みに欠けたわけではない。
実は中位、下位におけるバトルが、かなり見応えのあるものとなっていた。
前戦もそうだったが、特に予選4番手のレーサー鹿島選手のリーフ(#88 東洋電産)と、予選5番手の井岡康晟選手(#89 Modulo Racing Team)のHonda eによる総合4位争いがヒートアップしていた。
EV-2クラス参戦のリーフのモーター出力は160kW。片やEV-Pクラス参戦のHonda eのそれは110kW。パワーで考えれば断然リーフが有利であった。
しかし、Honda eは約300キロ分ものアンコを落として超軽量化を図っていた。それによって得られた戦闘力の高さはパワー不足を補って余りあった。
レースの序盤から中盤にかけて、Honda eはリーフに離されることは一度もなかった。逆に後ろにピタリとつき、何度もオーバーテイクを試みる果敢な走りを見せた。
そして、熱いレーシングスピリットに基づく技術と戦略のたまものであろう、残り3周となった10周目でリーフを一気に抜き去り、最終的には4位でのフィニッシュを決めている。
見事なパワー下剋上の達成。
この瞬間、観る者の多くが、このレースには混走レースならではの特別な感動があることを深く理解した。
やっぱりJEVRAのEVレースは面白い!
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