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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2024年10月10日更新
『間違いだらけのクルマ選び』でおなじみの島下泰久氏が著した本。
2023年4月の上海モーターショー、同年10月のJAPAN MOBILITY SHOW、2024年1月のCES(Consumer Electronics Show)という三つの大展示会で抱いた感想と知り得た情報を基に、日本の自動車メーカーの未来への危惧と期待を述べている。
BEV化に伴う
クルマの進化に焦点
まず、上海モーターショーでは敗北感を覚えた。
中国の各メーカーはどこも完成度の高いBEVを展示していた。それらは著者には〈BEVシフトというタイミングあるいはチャンスを用いてのクルマ自体の進化〉、すなわち〈クルマ2.0の勃興〉を感じさせるものと映った。
対して我ら日本のメーカーは、現実味と魅力の乏しいBEVのコンセプトカーをいくつか展示する程度。BEVシフトへの対応ができていない上に、それに伴うクルマの新しい価値の提案ができておらず、著者に「中国にはもうかなわないかもしれない」との危機感を抱かせた……。
この危機感は、しかし、半年後に東京で開催されたJAPAN MOBILITY SHOWで少し解消された。
中国のBYDによるBEVの魅力的な実車展示が目立つ中、日本の各メーカーも頑張っていた。特にレクサスが出展していたLF-ZCが輝いて見えた。これは2026年ごろにデビュー予定のBEV。中国勢よりかなり遅れての登場となるが、バッテリーはもちろん、知能化の部分でも著しい進化が期待でき、時間的劣勢をカバーするに余りありそう。この勢いが本格化すれば、いずれ中国勢をはじめとする他メーカーを凌駕する可能性は小さくはないと思わせた……。
そして著者は、2024年の米国ラスベガスでのCESで、日本のメーカーへの期待をさらに膨らませた。
そこには2040年にグローバルで100%BEV/FCEV化することを宣言したホンダが、2026年から市場投入する新しいBEVである0シリーズのコンセプトカーを展示していた。
BEVだからこそできた斬新なエクステリアと居住性の高いインテリア。進化させたバッテリーによる走行性能も十分で、かつ自動運転/先進運転支援システム、ソフトウェアディファインドモビリティの実力も申し分なさそう。まさにクルマ2.0を体現する1台。クルマのことをよく知るホンダそして日本のメーカーから、こうした魅力的なクルマが続々でるようになれば、勢力図は再び大きく塗り替えられるに違いないと感じた……。
実は著者は、クルマの脱炭素化については当面はHVやPHEVも含めたマルチパスウェイ路線でいくのが正解と考える派。いずれガソリンエンジンを搭載するクルマがなくなる運命だしても、すぐにすべてをBEVに転換させればOKと考えるのは浅はかだと思っている。そうなるまでには、ちゃんとした進化のロードマップが不可欠だろう、と。
〈求められているのは単にパワートレインを内燃エンジンから電気モーターとバッテリーに置き換えることではない。―略― 語るべきは、知恵を絞るべきは、BEVをはじめとする新しいテクノロジーによってクルマをどう進化させていくかというビジョンでありストーリーである。―略― 日本の自動車メーカーは、そして日本自動車工業会曰く550万人にも上るという自動車業界は間違いなく、それをリードしていける力を持っている〉
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