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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年5月14日更新
予言どおりの展開!?
魔の6周目でタイカンは……
コースを12周して合計55㎞を戦う決勝は、夕刻の16時15分にスタートした。
スタートシグナルが消えた瞬間、グリッド最前列にいた国江選手のポルシェ タイカンは異次元の速さを見せ、あっという間に第一コーナーへと飛び込んでいった。
昨シーズンまでは、地頭所選手のマシンをはじめとするテスラ モデル3がホールショットを決めるシーンが繰り返されていたが、それが遂に途切れたのである。
スタートの勢いそのままに、国江選手のタイカンは2周目に1分55秒885という予選に近い好タイムをマーク。そのままレース序盤で2位の地頭所選手のモデル3に4秒もの差をつけて独走態勢へと入った。速い!
「王者モデル3危うし。新王者の誕生か」との思いは、いよいよ確信へと近づいた。だが一方で、「冷静に走ると言っていたのに、飛ばし過ぎではないか」との懸念もよぎる。TAKAさん選手と八代選手が発言していたように、国江選手のレース魂に火が着いて少しアクセルを踏み過ぎている可能性も否定できない。いったい、どちらが正解なのか?
答えは、数分後に何の前触れもなく突然に出た。
国江選手が話していたドイツ・ニュルブルクリンクの20㎞を少し超えた25㎞あたり、つまり6周目で、タイカンは急にスローダウンしはじめたのである。
アクシデントやトラブルが原因ではなかった。アクセルを踏み過ぎてバッテリーが限度を超えて熱くなり、加速制御が働いたためのスローダウンであることが明々白々だった(レース後にもその事実は確認している)。嗚呼……。
辛抱強く2位につけていた地頭所選手は、その瞬間を見逃さなかった。それまで披露していなかった一段上の加速を見せ、7周目に入るホームストレートでタイカンを一気にオーバーテイク。そのままぐいぐいと引き離し、逆に完全な独走態勢をつくりあげた。
結局、地頭所選手が駆るゼッケン1のテスラ モデル3は楽々と優勝のチェッカーを受けることに。国江選手のゼッケン32のポルシェ タイカンは、終盤でほか3台のテスラ モデル3にも抜かれて5位に終わった。最終的に地頭所選手との差は1分以上も開いていた――。
決勝結果
1 地頭所光(TEAM TAISAN 東大 UN テスラ)24'29.801(Lap12)
2 TAKAさん(適当Lifeアトリエ Model3)24'58.990(Lap12)
3 千葉栄二(ガーデンクリニック TAISAN アキラR)25'18.158(Lap12)
4 KIMI(GULF.RACING.Model3)25'21.842(Lap12)
5 KUNI(GULF RACING Taycan)25'30.408(Lap12)
6 アニー(末広 Model3)26'07.138(Lap12)
7 レーサー鹿島(東洋電産・LEAFe+)25'51.327(Lap11)
8 廣瀬多喜雄(ノートe-Power Nismo S)26'01.994(Lap10)
9 藤田広一(10thチャレンジ ノートe-POWER)26'06.102(Lap10)
10 大野博美(千葉県自動車大学校 ノートe-POWER)26'32.014(Lap10)
11 内藤宏章(世界に1台だけのZZ)25'53.333(Lap8)
実はチームTAISANも
タイカンの投入を検討していた!
地頭所選手は、表彰式で優勝の喜びをこんな言葉で表現した。
「今回のレースの見どころはポルシェ タイカン vs. テスラ モデル3だった。クルマのチューニングの差はあったが、まずは勝てたことにホッとしている……。タイカンに乗り換えなくて本当によかった。モデル3で今年も全勝を目指したい」
明るく前向きな弁である。しかし、「タイカンに乗り換えなくてよかった」とは、いったいどういうことなのか?
本人に直接話を聞いたところ、こんな事実が判明した。
地頭所選手が所属するチームTAISANは、一時期、新たにタイカンを購入し、今年のレースから投入することを検討していたらしい。しかし、代表の千葉泰常氏が、タイカンが超高性能であることは認めつつも、モデル3ほど強くないと判断し、購入の見送りを決めたという。
理由は一つ。タイカンの車両重量が約2トン半と極めて重かったから。
「このEVグランプリシリーズの戦いの場は、富士スピードウェイを除いて1周の距離が短く、ストレートが少なくコーナーが多いサーキットがほとんど。それを考えると、総合的に車両重量の重いタイカンはかなり不利になると判断したみたいなんです。僕もそれを聞いて、確かにそうかもと思いましたね」(地頭所選手)
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