ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2020年11月26日更新
真のニューノーマルは
アフターコロナでも残る
新型コロナウイルスの流行は、われわれの生活や仕事のスタイルを大きく変えた。
マスクをする習慣の定着、混む公共交通や外食店の回避、リモートワークの敢行などなど、その変化は数えきれないほど起きている。それらは慣れない戸惑いやストレスが伴うにも関わらず、「ニューノーマル(新常態)」という洒落た表現で言い習わされている。
もちろん今後、治療薬やワクチンが開発されて行き渡るようになれば、こうしたニューノーマルも解消されて元のスタイルに戻っていく可能性は大きい。大方の人は、「とくに洒落てなくてもいいから、早くそうなってほしい」と切に願っている。
ただ、なかにはコロナ禍が収まったアフターコロナでもそのまま残るものがある。そして、それこそが真のニューノーマルだと言われている。
その代表的なものの一つとしては、リモートワークが挙げられる。
当初、オンラインによるリモートワークは違和感とともにやむを得ず実践された。だが、やってみたら「これ、案外に普通に仕事になるね。あまり経費もかからない点もいいよね」との発見がなされた。結果「リモートワークすれば毎日必ず通勤する必要はないし、よほどのことがない限り遠くにいる相手と商談するために出張する必要もないかも」という考えが一般化しだした。
今後、対面による営業・打合せ・会議・出張が復活してくるにせよ、リモート形式も有効なスタイルとして残っていくのは、どうも間違いなさそうな気配なのである。
クルマはもちろん
新車販売もデジタル化する
本書は、コロナ禍によって起きているこうした変化の常態化による影響で、今後、自動車産業がどうなっていくかを分析し予測している。
主題は販売台数云々の話ではない。
コロナ禍が起きた当初は、確かに自動車の製造・販売は世界的に大きく落ち込んで先行きが心配された。しかし、3密が避けられる自家用車をはじめとするクルマの良さが見直されたことやサプライチェーンの通常化などがあって、夏以降は持ち直す傾向が出てきた。第三波の悪影響が懸念されてはいるものの、近い将来にワクチンが開発・流布されて罹患の恐れがなくなれば、元どおりもしくはそれ以上の回復も可能だと見られている。
著者は、本書が書き終えられた9月の段階で既にそうしたマーケットの動きを見越していて、それはそれで解決すべき課題はあるにしても、もっと気にすべきは別の方向の大きな変化であり、自動車メーカーや関連企業はそれに即応することが大事なのだと言っている。
この詳しい変化の内容とそうなる理由については本書を読んで確かめてほしいのだが、わかりやすいところを抜き出して要約すると次のようなことが語られている。
◎国や地域によって傾向は異なるが、アフターコロナの時代になっても、リモートワークをはじめとする生活・仕事のデジタル化の定着によって脱都市ライフの実現や公共交通機関の利用低減などが進んでいく。
◎その新常態の中においては、起こる不便をさまざまな面でカバーするクルマもデジタル化すなわちCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)ならびにMaaS化し、より有用になることが求められる(ビフォアコロナでもCASE・MaaSは着々と進んでいたが、そのスピードをさらに早めてほしいというニーズが高まる)。
◎そして、新車販売ディーラーの営業でさえもデジタル化が求められるようになる。国や地域によっては2030年ごろにはオンライン販売のニーズが高まり、それが定着していく可能性がある。
◎自動車メーカーや関連企業は、そうした急速に変化するニーズをうっちゃったままにしておいてはいけない。そんなことをしていると、デジタル化の高い技術を持ち、コロナ禍で勢いをつけているIT業界の雄にクルマの世界の主導権を奪われる可能性が大きい。CASE本格化への動きをこれまで以上に早めるべきである。
まるで風が吹けば桶屋が儲かるの逆パターンなわけだが、確かな分析に基づいた周辺情報とともに読み進めていくと「なるほど、そうなるのが自然な流れかもね」と深く頷かされる。
一般のドライバーにとって、クルマがより便利になる時期が前倒しになるというのはとてもうれしい話だ。だが、メーカーやディーラーにとっては急激な大変革を迫られる、戦々恐々な内容が語られている。
さてさて、この予測の結末は如何に。
ちなみに、著者・中西孝樹氏は、〈米国Institutional Investor(Ⅱ)誌自動車セクターランキング、日経ヴェリタス人気アナリストランキング自動車・自動車部品部門ともに2004年から2009年まで6年連続第1位と不動の地位を保った〉実力派アナリストということだ。その予測はかなり高い確率で当たると思っておいて間違いないだろう。(文:みらいのくるま取材班)
『自動車新常態(ニューノーマル) CASE/MaaSの新たな覇者』
・2020年10月16日発行
・著者:中西孝樹
・発行:日経BP 日本経済新聞出版本部
・価格:1,700円+税
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
深セン市にある企業のCEOに直接インタビューを敢行!前編では、匿名希望の中国人男性の「中国のEVの数はすごく多いが、質は日本が上」という意見を紹介した。し…
2019.02.12更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
一般社団法人日本自動車工業会が発行する広報誌『jamagazine(ジャマガジン)』2022年2月号に掲載された、「加速する日本の自動車メーカーによるSDGsの…
2022.02.24更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2024シーズンのALLJAPANEV-GPSERIES(全日本電気自動車グランプリシリーズ)が、3月10日(日)、「モビリティリゾートもてぎ」(栃木県…
2024.03.05更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
バッテリー温度を気遣うアクセルワークが不可欠長い梅雨が明けた1週間後の8月9日、全日本EVグランプリシリーズ(ALLJAPANEV-GP)の第4戦が快晴…
2020.08.25更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
日本においてMaaSは、どのように実現するのか。後編では、『第12回オートモーティブワールド』(2020年1月15日~17日、東京ビッグサイトにて開催)に出展し…
2020.02.06更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
EVには、どんな電気を、どう充電すべきなのか――。今回の「EVシンポジウム」では、全体を通してこうした話題が非常に多く出た。社会的な視点でEVを見つめ直す…
2023.12.14更新