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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2020年10月29日更新
親子レースになるはずが
急きょメディア対抗に変更
日本EVクラブは当初、SDGs ERK on ICE『氷上の電気レーシングカートの祭典』のメインイベントを一般参加の親子チームなどが競うレースとして計画していた。
だが、春先からのコロナ禍の影響でその実施を断念。急きょ、モータージャーナリストとクルマ関係の雑誌やWEB媒体の編集者の二人一組のチームによる「8チーム対抗 メディア・トーナメント戦」へと切り替えた。
今回、それに出場したのは以下の8チームである。
『LE VOLANT』チーム(ジャーナリスト石井昌道氏&編集者 萩原充氏)
『CARトップ』チーム(ジャーナリスト片岡英明氏&編集者 加藤元章氏)
『driver』チーム(ジャーナリスト斎藤聡氏&編集者 大庭柊子氏)
『MotorMagazine』チーム(ジャーナリスト竹岡圭氏&編集者 小泉優太氏)
『EVsmartBlog』チーム(ジャーナリスト津々見友彦氏&代表 安川洋氏)
『Tipo』チーム(ジャーナリスト橋本洋平氏&編集者 佐藤考洋氏)
『くるまのニュース』チーム(ジャーナリストまるも亜希子氏&編集者 金子高志氏)
『ベストカー』チーム(ジャーナリスト諸星陽一氏&編集者 市原信幸氏)
彼らが行った競技は、氷上スポーツであるチーム・パシュートの電気レーシングカート版。トラックの両側から2チームが同時にスタートし、それぞれの先頭走者を入れ替えながらコースを3周し、どちらが早くゴールするかを競うというもの。これが、敗者復活制を採り入れたトーナメント形式で実施された。
エキスパートたちが
カッコいい走りで魅せた!
観戦する側としては、一般参加の親子チームによるレースが観てみたかった。それはさぞかし楽しく、未来感もあり、盛りあがったことだろう。それを実現させなかったコロナ禍には、改めて強い恨みを覚えないではいられなかった。
だが、始まってみると、大人たちだけによるレースもなかなかのものだった。何しろ、出場者は全員クルマに関してのエキスパート。媒体と職能のプライドをかけて真剣に勝負に挑んでおり、その走りはけっこう見応えがあった。
とくにテールを滑らせ逆ハンを切って華麗にコーナリング(ドリフト)するシーンは相当にカッコよく、それがほぼ全戦にわたって目撃できた。
「ああいうの、ものすごく気持ちいいんだろうな」
こちらは彼ら彼女らほどには運転が上手くないが、よく滑る氷上であればなんとか逆ハンでのコーナリングができるかも知れない。だったら、いつか、その快感を体感してみたい――。そういうウブな思いが自然と湧き起こった。
以下の動画には、レース中のそのカッコよくて気持ちのいいコーナリングの様子が映っている。ぜひご覧いただきたい。
氷上で勝つコツは
ノーミスで終えること
さて、肝心のレースの行方だが……われわれ取材班が観戦している限りでは、『Tipo』チームのジャーナリスト橋本洋平氏と編集者 佐藤考洋氏の走りが一番華麗で抜きんでて見えた。そして、その優れたテクにともない、どのチームよりも速くて強い印象があった。だから、このチームのトーナメントの勝ち抜きと決勝進出は当然の成り行きであり、「優勝は、ぶっちぎりで『Tipo』チームだろう」との予想を抱いていた。
ところがどっこいである。実際に優勝したのは、敗者復活戦から決勝にこぎ着けた『driver』チーム(ジャーナリスト斎藤聡氏、編集者 大庭柊子氏)だった。
『Tipo』チームは華麗な走りを見せながらも、はじめてスピンを喫すなどのミスをいくつか重ねてしまっていた。対して『driver』チームは、あまりテールを滑らせることのない地味な走りが多かったのだが、それゆえか大きなミスをすることが一度もなかった。結果、いつの間にか地味な『driver』チームが徐々にリードを広げ、遂には記念すべき第1回大会のチェッカーを受ける結果となったのである。
そう、氷上のレースにおいては「いくら華麗に速く走ろうとも、ノーミスで終えなければ勝てない」ということ。これは、たぶん、今後のレースのいい教訓になっていくに違いない。
とにかく、最初から最後まで思っていた以上に楽しめた。次回以降に一般参加の親子チームによるレースなどが実現すれば、きっともっと楽しいものになることだろう。次回を待て! だ。
ホンダはフォーミュラEにも参戦せず?
最後に、この日のプログラム終了後に大会委員長である日本EVクラブの舘内端代表に改めて伺った話を紹介しておきたい。舘内代表には、冒頭の挨拶で触れられていたホンダのF1撤退に関することを深掘りして語ってもらった。
——ホンダがF1から撤退するという予告をどう受けとめているのか、もう少し詳しくお聞かせください。
舘内:いつか来る道、いつか行く道……。ホンダは、世の中の動きを見て、そろそろすべての活動をEVをはじめとする電動車に切り替えないとクルマの販売も会社の経営も持たないと判断してF1からの撤退を決めたんだと見ています。僕からするともう少し早く決断してもよかったんじゃないかと思うところはあるんですが、それはそれとして、自動車メーカーとしてちゃんとカーボンニュートラルの電動車にシフトする意思を明確に示したことに関しては高く評価すべきでしょう。こういうことを言ったメーカーは日本では初めてなんじゃないかな。今まではエンジン車もやるしEVもやるという中途半端なメーカーはいっぱいあったけれど、ここまではっきりと電動化路線を打ち出したところは一つもありませんでしたから。
——世の中には「ホンダはF1を撤退したあとはフォーミュラEに参戦か?」などといった声が出ています。でも、今回の発表ではそのことには一言も触れられてはいませんでした。ホンダのフォーミュラEへの参戦の可能性はあると思われますか?
舘内:うーん、何とも言えないなあ……。これまでのF1を頂点とするモータースポーツの世界では、メーカー同士がしのぎを削って闘い、その中で市販車の技術を育て、ブランドイメージも高めていた。すなわちメジャーなモータースポーツの勝敗は市場を刺激する大きなチカラになっていたわけです。けれども、電動化へと向かうこの時代、そういうチカラがかなり薄れてきている気配が濃厚。たぶんホンダもそうしたことに気付いていて、それゆえにフォーミュラE参戦の意思を表明しないままでいるんじゃないでしょうか。
——電動化の時代の自動車市場を盛り上げるものとしては、エンジン車で戦うF1はもちろんのこと、EVで戦うフォーミュラEさえも無力化しつつある、と。
舘内:そうです。EVは乗ってはじめて楽しさが理解できる乗り物。なので、自分から遠い世界で行われているメジャーなレースはあまり消費者の心に響かないように思います。みんなが当たり前のようにEVに乗り始めるようになれば、また話は別かも知れないですけれどね……。では、今は何が心に響くのかと言えば、われわれのSDGs ERK on ICEのような駅近で気軽にEVの走りが楽しめるライトなモータースポーツが本命として浮かび上がってくるわけですよ。今回は一般参加の親子レースとはなりませんでしたけれど、いずれそうなれば、市場刺激策としてもかなり有力なはず。そう僕は確信しています。ついでに言うと、F1撤退を決めた一方でこの大会にしっかりとスポンサードしてくれたホンダは、ある意味、相当に先見の明があると言っていいような気がしています。他のメーカーもスポンサードしてくれるといいですね。メーカーのエンジニアや広報担当者でチームを組んで走る「メーカー対抗ERK on ICE」なんて素敵じゃないですか。
(前編)ホンダがF1撤退を予告した翌日、日本EVクラブが初の『氷上の電気レーシングカートの祭典』を開催!
(後編)EVの楽しさが体感できる駅近モータースポーツこそが、これからの自動車市場を刺激する!
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