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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2018年9月25日更新
ちゃんとしたレンタカーなら
外国人による事故でも補償はでる
外国人が運転するレンタカーとの事故の場合、いろいろとたいへんではありますが、ケガや損傷に対する補償については、かなり安心できるところがあります。
理由はカンタンです。日本人であれ外国人であれ、ちゃんとしたレンタカー会社でクルマを借りる際には、その料金のなかに対人・対物・車両・人身傷害の補償がでる保険料が含まれているからです。
万一の事故のときには、レンタカー会社が加入している保険が適用されて、そこから補償がおりるようになっているのです。
ですから、もし外国人が運転するレンタカーと事故になったら、日本人運転手との事故のときとまったく同じで、「現場に警察を呼ぶ」ことが第一にすべきアクションとなります。
外国人との事故の場合、相手との意思疎通ができないことによって「どうしよう…」と動転して、警察への連絡が後手に回ることが想定できますが、「まず警察」であることをどうかお忘れなく!
また、それと同時に、相手の身分の確認をする必要があります。最低限として、相手のクルマのナンバー、相手の氏名・住所(宿泊先)・電話番号は必ず記録しましょう。国際免許などを確認できれば、それに越したことはありません。
無保険車による被害の対策は
人身傷害保険&車両保険
ところで、もし相手の外国人がレンタカー以外のクルマに乗っていて、そのクルマと事故になった場合はどうすればいいのでしょうか?
相手が観光客だと想定した場合、たとえば、数ヵ月にわたって日本に滞在する人が、廃車寸前の安い中古車を買い取って、滞在中の移動手段として使う…そうしたケースがります。
本来であれば、在留カード(外国人登録証明書)と実印と印鑑証明書、車庫証明書がなければクルマは購入できないのですが、世の中には怪しい中古車販売も存在するので、そうしたクルマによる事故がときどき発生したりするのです。
もし、そんなときは、やはり警察を呼ぶことが第一となるのですが、それはそれとして、問題となるのはその後の補償のことです。
そのクルマに自賠責はついていたとしても、任意保険に加入していることは期待できません。任意保険に加入していなければ、こちらがケガしたり、クルマが壊れたとしても、どこからも補償はでないことになります。
相手が自分の懐から補償してくれるような誠実な人だとしたら話は別ですが、違法な形でクルマを運転している不埒な輩であれば、それは期待できないでしょう。おそらく、多くの場合、彼らはさっさと自分の国に帰り、そのまま知らぬ存ぜぬを貫くはずです(実際、そういう事例は多いようです)。そうなったら、もう、泣き寝入り道まっしぐらの可能性が大です。残念ですが。
ただ、まったく救いがないわけでもありません。こうしたケースでも、自分がかけている保険に人身傷害補償保険(その他、搭乗者傷害保険・無保険車傷害保険)と車両保険を付けていたとしたら、救われます。
まず、保険会社は治療費とクルマの修理代の補償をきちんとしてくれます。そして、その保険会社は、外国人が自国に帰ったとしても、それをどこまでも追っかけていき、求償(保険会社が被害者に保険金を支払った分を加害者に請求)を行います。
つまり、自分の保険の等級がダウンして保険料が高くなるとうマイナスは発生するにしても、事故の被害も自分の治療もすべて自腹でまかない泣き寝入りしなければならないという最悪のパターンは回避されるのです。
交渉が困難な場合
弁護士費用特約が心強い
前述のケースよりも多くあると考えられるのが、長期滞在する外国人が「任意保険はいらない」と判断して無保険車に乗っているケースです。
こうしたクルマとの事故は、「無保険車との事故」にくくられますが、相手が外国人であるためにその交渉過程でなかなか歯車がかみ合わないという話を聞きます。
たとえば、相手の過失割合が100%の場合、自分の側の保険会社がこの交渉の代理を行うことはありません。ご存知のように、この場合、保険会社は事故の相手への支払いが発生しないからです。
そうなると、外国人を相手に、自分の損害分のお金を自分自身で交渉して支払ってもらわなければならないのです。
想定されることとして…相手の外国人に「なぜ過失割合が100%なのか」を理解してもらうということから始まり、減額交渉への対応、分割支払いの要望への対応などまで、かなりの手間と時間を費やすこととなるでしょう。
こうしたことへの防御策としては、このコーナーで以前に解説したように、自分の保険に弁護士費用特約を付けておくことをオススメします。
ここで一つ、付け加えておきたいと思いますが、相手の過失割合が100%で、(相手が)自賠責保険には加入していた場合、自賠責からの補償を受けるためには自分がその手続きを行う必要があります。面倒な話ですが、これも仕方がないこととして、頭に入れておいてください。
また、過失割合が「30:70」などでこちらにもある程度の過失がある場合には、それこそ保険会社に頑張ってもらうことになります。前述の人身傷害補償保険等と車両保険を自分の保険に付けていることが重要なことはいうまでもありません。
なお、過失割合が「30:70」などでも、弁護士費用特約は使えます。相手が無保険車の場合などは、保険会社と、弁護士費用特約の活用も想定して相談しましょう。
世の中には外国人観光客ならずとも無保険で走っている人が事故を起こすケースが少なからずあるので、もともと自身の保険に人身傷害保険等と車両保険を付けておくのは重要なことだといえるでしょう。
また、交渉が難しいケースを考えると、弁護士費用特約の重要性もより増すように思われます。
前編で紹介したドライブレコーダーの装着同様、より安心なドライブの実現のために、ご自身の自動車保険の内容を再確認・検討してみてください。
外国人観光客が運転するレンタカーと事故したら、どうする?(前編)
外国人観光客が運転するレンタカーと事故したら、どうする?(後編)
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