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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2019年6月27日更新
超高齢化社会における交通問題の解決策のひとつとして、自動運転サービスの社会実装をめざしている国土交通省。2017年9月2日~9日、そのための最初の実証実験が栃木県栃木市にある道の駅「にしかた」で行われた。われわれみらいのくるま取材班は9月8日に現地を訪れ、その模様を追った。
交通が規制されたなかでの公道実験
「自動運転バスが乗客を乗せて公道を走る!」
こんな衝撃的なニュースを耳にしたわれわれみらいのくるま取材班は、9月8日の金曜日、急遽、実験が行われる現場へと向かった。
現場は、栃木市にある道の駅「にしかた」を起点とした約2㎞の周辺道路。ここを電動の自動運転バスであるEZ10が、午前と午後にそれぞれ数回、時速10キロ程度の速度で走ることになっていた。
あたりはのどかな田園風景が広がり、道路上の通行量はまばら。レベル4の完全自動運転が可能と謳うEZ10であれば、問題なく走れる交通環境のはずなのだが、実験ということで、ほかのクルマや人の通行を完全シャットアウトしたなかでの走行に限定されていた。
悪コンディションでもしっかり走行
まず午前中に実施されたのは「乗客なし走行(運行スタッフのみ乗車)」。これは、午後に行われる「乗客ありの走行」のための準備の意味合いが強かったため、現場のスタッフもわれわれも、わりとのんびり構えてその走りを見守ることになった。
とはいえ、コンディションは不良。路面を水浸しにする雨に加え、2日前に最大級の太陽フレアが発生したことで、自動運転に必要な技術のひとつであるGPSへの悪影響も懸念されていた。事前にプログラミングされた短いルートをゆっくりと走行するとはいえ、「そんなコンディションのなかでもちゃんと走るのか」、それなりに気になった。
結果はどうだったか?
下の映像のとおりである。脱輪しないように意図的に道路のセンターを走らせている様子が窺えたわけだが、全般的にとくに問題なく走っているように思えた。・・・いや、こう書くとクールに過ぎるだろう。もとい。ハンドルがなく運転手もいない自動運転バスがバッドコンディションの公道をしっかり走っているのを目撃し、のんびり構えていたはずのわれわれは大いに興奮することになった。「ついにクルマはここまで進化したのか!」と。
斬新極まりないEZ10というバス
午後に行われた「乗客ありの走行」のルポの前に、ここで今回の実験で使用された自動運転バスEZ10のあらましを見ておこう。
EZ10は、フランスのEasyMileというメーカーが開発した電動の自動運転バスだ。あらかじめ作成した地図データ上のルートをカメラや各種センサー、GPSを使って完全自動運転(運転手なし)で走行できるようになっている。
現在、日本ではDeNAがこれを導入しており、Robot Shattleという名の交通システムの元で各地(商業施設や大学などの専用空間)で運用をはじめている。
今回、国土交通省は全国13箇所で行う「自動運転サービスの実証実験」のなかで4種類の車両を採用しているのだが、そのなかのひとつとがこのEZ10というわけだ。
EZ10の概要
【位置特定技術】DGPS・センサー/前後カメラ/走行距離計・慣性計測装置
【安全技術】緊急停止ボタン/安全制御装置/障害物検知用レーザーセンサー/緊急ブレーキ・フェイルセーフ停車装置/ホイールエンコーダ
【仕様】容量:12名(6名着席・6名立席)/充電:110V-230V 16A/最大加速:40km/h/ホイールベース:2.800m/動力:非同期電気エンジン/車両総重量:1,750kg/走行時間:最長10時間/サイズ:長3.928m、幅1.986m、高2.750m/電池:リチウムイオン(LiFeP04)
写真を見てもわかるように、EZ10の車体は横から見るとまったくのシンメトリー構造。どこにも運転席がないためにフロントとリアの区別がない。実際、走行実験中は、出発時は向かって右側を前にして走っていたかと思えば、帰りは向かって左側を前にして走っていた。
「ハンドルがなくて、運転手がいなくて、自動で走る」こと自体がすごいことなわけだが、その見たこともない走り方を前にして、われわれは「斬新すぎる・・・」という以外に発すべき言葉を見つけだすことができなかった。
午後の部では、この斬新極まりない機構とスタイルの自動運転バスに、地元の高齢の人たちが乗客モニターとして乗車したのである。(後編につづく)
(文:みらいのくるま取材班)
「自動運転サービスの実証実験」ルポ
(前編)運転手のいないバスがついに公道を走った!
(後編)自動運転バスは地方の高齢者の夢の乗り物!
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