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2017年の注目ニュース③ じつは自動運転車は完全に安全ではない!?〈前編〉

2017年10月6日更新

みらい_ニュース2017_1

ヒトは、自動運転車と聞くと「なんにもしなくても完全に安全に走るクルマ」とイメージする。たしかにそういうところはある。だが、じつはそれだけでは危うい。今回紹介する、日本の総合自動車ニュースサイト『レスポンス』が行った調査結果と、米国から話題が広がっている『モラル・マシーン』というwebサイトに触れて考察すれば、そのことがよくわかる。

クルマ好きの50%以上が
自動運転/自動走行に好意的

「クルマ好きは自動運転をどう見る!? 業界関係者と一般ユーザーの意識を緊急調査」・・・これは、日本最大の総合自動車ニュースサイトとして知られる『レスポンス』(株式会社イード)が、2月14日に配信した記事のタイトルである。全国のクルマ好きを自認するレスポンス読者と自動車関係技術者の合計1,626名を対象にして行った自動運転に対する意識調査の結果と分析が紹介されている。



このなかで、まず目を惹くのが、「Q4,自動運転/自動走行の車の利用意向」の結果だ。なんと読者と技術者の50%以上が自動運転のクルマを「利用したい」「まあ利用したい」と答えているのである。「利用したくない」「あまり利用したくない」と答えたのは四分の一ほどに留まっている。

利用意向_web

これは、けっこうな驚きの数字といえる。なぜなら、自動運転車の時代が到来すると、運転する歓びがなくなるかもしれないからだ。どうして、これほど多くのクルマ好きの人が自動運転を「利用したい」「まあ利用したい」と考えるのだろうか?

この調査では、残念ながら、そこまで深くは追っていない。なので、はっきりした理由はよくわからない。ただ、そのあとにつづく「自動運転/自動走行の状況別利用意向(どんなときに自動運転のクルマを利用したいか)」の問いかけに対し、「渋滞しているときの走行時」と答える人が一番多くなっていることから、運転する歓びが感じられないときには自動運転の機能を選択をしたいという欲望をもっているらしいことがかすかに感じられた。

もしかしたら、このクルマ好きの人たちは、自動運転の機能をあくまでオプショナルなものとして捉えているのかもしれない。運転する歓びが感じられるシーンでは手動運転、そうでないときは自動運転といった具合に。

たしかに、完全自動運転になるまでにはまだまだ間がある。そこに至るまでには、そうした使い方も十分にあり得るのだろう。しかし、そうだとするなら、クルマが完全自動運転になったときでもクルマ好きの人たちは「利用したい」「まあ利用したい」と考えるのだろうか。それがとても気になった。

今後、この調査がつづくようであれば、ぜひ、そこらへんを深掘りしてもらいたいところである。

自動運転車の理想と現実には
永遠に合致しないズレがある

そして、今回、この調査のなかでもっとも気になったのは「Q6.自動運転/自動走行の課題」という問いに対する回答だ。一番多かった回答が「事故発生時の責任の所在の明確化」となっていて、「人口知能(AI)を含むソフトウェア技術の向上」「自動ブレーキ技術の向上」といった技術的な課題をあげる声を大きく引き離しているのである。

自動運転_課題_web

これは、記事の分析にもあるように、多くの人が自動運転の技術の順調な進化は当然のこととしていて、それ以外の未整備なルール、モラルをなんとかしなければならないと考えた結果と捉えるのが妥当といえそうだ。

だが、筆者は、そこにいき着く前に、その多くの人たちが「自動運転車でも事故は起こり得る」と考えていることにハッとさせられた。

われわれ普通のドライバーは、「自動運転車は、なんにもしなくても完全に安全に走るクルマ」と安直にイメージし、基本的に事故は起こらなくなると考えがちだ。だが、この調査に参加したクルマ好きの人たちは、決してそうとは考えていないのである。

なぜか? これも憶測で語るしかないのだが、ひとつは、やはり完全自動運転に至るまでの移行期というものを意識しているからかもしれない。つまり、自分の乗るクルマが完全自動運転ではないうえに、道路上には自動運転でさえもないクルマが混在して走る状況があるとすると、やはり事故は十分に起こり得るということだ。

そして、もうひとつは、よく考えれば当たり前のことなのだが、「人間のつくった機械は必ず壊れる」という認識をしっかりともっているからかもしれない。つまり、たとえ完全自動運転車の世界が到来したとしても、必ず機械的トラブルは発生する可能性はあるわけで、そうであれば、やはり事故は稀であるにしても起こり得るということだ。

もし、これらが当たっているとすれば、クルマ好きの自動運転車への見識の高さに感心させられる。そう、この先の自動運転の世界を健全に実現させていくためには、迂闊に自動運転車の理想イメージだけに流されてはいけないということだ。彼らのいうように、「完全自動運転実現までには長い移行期がある」あるいは「人間のつくった機械は必ず壊れる」という現実をしっかり認識し、いまのうちにルールやモラルの確立にしっかり目を向けておく必要があるのである。

みなさんは、どう考えるだろうか?
じつは、このニュースページの奥には、調査結果の詳細を掲載したPDFの資料がダウンロードできるボタンがついてる。ぜひ、実際にダウンロードして目を通してみてほしい。きっと自動運転車のことを現実的な目線で見直すいい機会となるはずだ。(文:みらいのくるま取材班)

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