ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
タウン・ギャラリー<今月のアーティスト>
2017年4月25日更新
「タウン・ギャラリー」では、キュレーターの独自の視点で選んだアートを連載で展示しています。時代に寄り添ったり、寄り添わなかったり、気ままな展開をお楽しみください。
1970年代からきょうまで、神羅万象、老若男女、なんでもかんでも、すべてを描きに描いたイラストレーター日野浦剛(別名ヒノーラ)。描きに描いて疲れたときは、大好きなクルマを描いた。
ハーレーダビッドソンに跨って御用聞きに編集社を回っていた人だから、クルマもやはり迫力のあるやつが好きだ。いまはもう、ほとんど見かけなくなったクルマたち。でも、どこかでまた会ってみたいクルマたち。その2回目は、メルセデス・ベンツです。
(キュレーター:佐藤二式)
メルセデス・ベンツの「メルセデス」は、ご存知のように、20世紀初頭、富豪の自動車ディーラーの娘の名前にちなんでつけられました。日本では「ベンツ」ですが、ヨーロッパでは「メルセデス」と呼ばれます。いえいえ「メルツェデス」というのが正しいようで、そう発音しないと怒りだす人もいます。これは、1930年代の770Kあたりと思われる。770Kだとすると、その最高級「グローサー」を超カスタムして、7.7リッターのエンジンをチューンナップして、防弾ガラスを施して愛用していたのが、かのヒトラーでした。
これはメルセデス・ベンツ230SLではありませんか。SLというのは、ご存知のようにシュポルト・ライヒト(スポーツ&ライト)のことで、軽量2シータース・スポーツの代表格であります。1952年のルマンを制覇したレーサー300SLRをベースに、300SLが発売され、その2代目として1963年に登場したのが230SL。フランス人、ポール・ブラックのデザインによって、ここらへんから中央が前後にゆるく谷になるメルセデスの屋根(パゴダ・ルーフ)が始まりました。ヒノーラさんの絵もその特徴を的確にとらえています。
【プロフィール】
日野浦 剛
1952年生まれ。1975年頃から、フリーのイラストレーターとなる。マガジンハウス、小学館、ソニーレコードなどでイラストを制作。現在、GAZOO.com『よくわかる自動車歴史館』のイラストを担当。連載はすでに100号を超えている。
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