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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2017年4月5日更新
ご存じ『間違いだらけのクルマ選び』は、直近に発売されたクルマへの論評・採点で人気の本なわけだが、この2017年版には、みらいのクルマに関する情報もいっぱい詰まっている!
こだわりの徳大寺氏から
柔軟思考の島下氏へ
最初の『間違いだらけのクルマ選び』は、41年前の1976年に出版された。
故・徳大寺有恒氏による的確かつ辛口の論評・採点が受けて大ヒットした。以降、中断はあったものの、いまに至るまで毎年の出版がつづいている。
徳大寺氏亡きあとの2014年版からは、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める自動車ジャーナリストの島下泰久氏が執筆を担当している。
「なんだ、徳大寺さんじゃないのか」という声が聞こえてきそうだが、心配はいらない。氏は2011年版から徳大寺氏とともに執筆をしていたこともあって、本の基本的な構成・トーンはあまり変わっていない。そして、決してメーカー側の太鼓持ちとならず、読者の正しいクルマ選びに役立つことを一番に考えて書く姿勢も相変わらずだ。
あえて変わったところを挙げるとすれば、氏の筆が少し軽いことだろうか。徳大寺氏のようなスノッブで頑迷な印象がない。これは、悪くいえばこだわりが薄いということになるが、よくいえば柔軟に思考を展開させているとなる。いまという時代は、ユーザーの嗜好が多様化していて、かつクルマの技術革新のスピードが著しい。それを考えれば、この軽い筆致、そう悪くはない。いや、むしろフィットしているといえる。つまり、島下版の『間違いだらけのクルマ選び』は、いい伝統を引き継ぎながらも、時代に即した形でまとまっている本なのである。
だから、「徳大寺さんじゃないから、もう読みたくない」というのは、非常に損な話となるわけだ。
クルマの未来を照らすエッセイ
この本の売りは、なんといっても直近に発売されたクルマへの論評・採点のページだろう。だが、じつは読み応えという点で、前半に収められているエッセイのページの読書もはずせない。筆者が考えるいいクルマ選びのコツはもちろん、クルマやクルマ文化のあるべき姿についての真摯な考察・提言は、読み飛ばすにはあまりにもったいないほど充実している。これは、第一弾からずうっとつづく、この本独自の伝統となっている。
では、そのエッセイ、どれくらい読み応えがあるのかということだが、2017年版について触れる前に、第一弾の『間違いだらけのクルマ選び』のエッセイをちょっと振り返っておこう。
当時、エコや安全性は、クルマの魅力を語るうえにおいては二の次のもので、ユーザーもメーカーもあまり重要視していない節があった。そんななか、徳大寺氏はこんなことを書いていた。
(草思社webサイトの特設ページで第一弾と第二弾の『間違いだらけのクルマ選び』が無料で公開されてる。http://www.soshisha.com/book_wadai/42car/index.html)
〈クルマというヤツ、やたらと資源を食う代物だ。人類共有の財産である自然資源には限りがあり、このままでいけば、いずれ資源はゼロになってしまうと言われている。クルマのユーザーも、そろそろグローバルな視点から資源問題を考えるべき時ではないだろうか〉
(エッセイ「省資源を忘れた時代遅れの排ガス規制」より)
〈安全上不可欠なこのシートベルトのシステムが、高級車と大衆車で違うというのは、いったいどうしたことだろう。(中略)高価格車だと、使い勝手のよい三点式ベルトを採用している。これは、ワンタッチで三点式ベルトが締められ、しかも緊急時以外はドライバーの行動はかなり自由という便利なものなのだ。少々高価かもしれないが、(中略)すべてのクラスの車種にぜひとりつけてもらいたいベルトシステムである。それでこそ、安全第一というメーカーの看板に偽りがないということになるのではなかろうか〉
(エッセイ「国産車の安全対策はどこまで信頼できるか?」より)
〈安全性でいつも世界の見本となるのが、西ドイツのメルツェデス・ベンツ。この会社の特徴は、安いクルマ(中略)から高級車(中略)まで、安全性に対するポリシーが一貫しており、装備がまったく変わらないということだ。さらに、この会社の安全性に対するポリシーは、能動的、つまり事故を起こさないようにすることと、受動的、つまり事故が起きた時の対策という、二つの視点から迫っている。(中略)国産車メーカーは、メルツェデスから学ばねばならぬことがたくさんありそうだ。まず安全性については、安いクルマも、高いクルマも同じだというポリシーの確立。それに能動的安全、つまり事故を起こさないことへの配慮だ。とくにこの二点については、日本のメーカーははなはだしく立ち遅れているのではないか〉
(エッセイ「事故を起こさない装備こそ本当の安全対策だ」より)
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