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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2016年12月15日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
はじめての海外旅行にでかけるJくん(20歳男性・学生)。空港の出発待合室で、同行する友だちと浮かれ気味に会話していた。
Jくん「むこうに着いたら、レンタカーでいろいろ行こうな」
友だち「あ、うん。でも、オレ、国際免許とってないよ」
Jくん「大丈夫、オレ、ちゃんととっておいたから」
友だち「右側通行だけど、運転できんの?」
Jくん「大丈夫、あれってすぐに慣れるみたいだから」
友だち「交通ルールは、知ってんの?」
Jくん「大丈夫、だいたいのことはネットで勉強しておいたから」
友だち「自動車保険は、どうすんの? 高いんじゃないの?」
Jくん「大丈夫、海外旅行保険に自動車運転者賠償の特約つけておいたから、一番安いレンタカー会社で最低限の保険を選べばいいんだよ」
友だち「ふーん……」
おーい、Jくん、なかなか準備がいいんだけど、最後の保険のところのくだりだけ、ちょっと心配だなあ……。
海外旅行保険の自動車運転者賠償は
賠償額に限度がある
海外では、いうまでもなく日本で加入している自動車保険は使えません。
なので、Jくんのように、海外旅行保険に自動車運転者賠償の特約をつけるという人がけっこういます。
これは、「出発前にしっかり安心の準備をしておきたい」という気持ちと、「海外のレンタカー会社で現地の人から英語などで保険のことを説明されて、よくわからないまま高い保険料を払うのは避けたい」との考えが影響した結果であり、それなりに賢明な方法といえそうです。
ただ、だからといって、現地のレンタカーの保険加入は最低限の強制保険だけで大丈夫とするのはどうなんでしょうか。
ほとんどの海外旅行保険の自動車運転者賠償特約の賠償額は、対人1億円まで、対物500万円までといった具合に無制限とはなっていません。その条件下で、海外のレンタカーの保険加入を強制保険だけに留めておくと、万が一、とんでもなく大きな事故を起こしてしまったときに、はたしてちゃんと賠償できるのかどうかが心配になります。
じつは強制保険の内容と賠償金額は、国や会社によって大きく異なっており、なかには対人賠償のみで数百万円しかでないものもあったりします。それを考えれば、やはり任意保険の加入も視野に入れておくべきでしょう。
郷に入れば郷に従うを基本に
自動車保険をチョイスすべき
一番安いレンタカー会社でクルマを借りるというJくんのケースでいうと、もっとも安心なのは、「海外旅行保険の自動車運転者賠償特約+レンタカーの強制保険の組み合わせを基本として、その賠償内容が不十分であれば任意保険(国によって内容はさまざま。オプションで盗難補償等もある)にも加入する」というチョイスをすることになると思われます。すべてに加入すると、けっこうな金額にのぼるかもしれませんが、見知らぬ土地での慣れない運転、少しでも不安要素が残っていれば、それを埋めておくにこしたことはありません。
ただし、すべてのケースにおいて、それがベストになるとは限りません。
海外旅行保険の自動車運転者賠償特約は、訪れる国によっては適用されないことがあります。その場合は現地のレンタカーの強制保険と任意保険の組み合わせに頼るしかありません。
また、世界的ネットワークをもつ大手レンタカー会社のなかには強制保険だけで対人、対物とも無制限の賠償をつけている会社もあります。それを利用する場合は、海外旅行保険の自動車運転者賠償特約の加入は必要ないでしょう。
つまり、海外におけるレンタカーの自動車保険は、運転と同様、郷に入れば郷に従うを基本に考えるのが大事だということです。日本で海外旅行保険の自動車運転者賠償特約に加入しておくかどうかは、訪れる国と利用するレンタカー会社の保険事情を事前に調べたうえで決めるのがいいかもしれません。
ということで、よりよい自動車保険体制でよりよい旅を。ボン・ボワイヤージュです!
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