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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年3月18日更新
走行中にうっかり車線をはみだすと大変な事故を起こす可能性が高い。今回紹介する自動運転のための技術の一つLKSは、それを高度な仕組みで防いでくれる。まだ進化途中だけど、すごいのだ!
LKSの前身LDWという大した奴
LKS(Lane Keeping System=車線維持支援システム) のことを紹介する前に、その前身であるLDW(Lane Departure Warning=車線逸脱警報装置)について触れておこう。
LDWは、走行中の車線の位置をカメラあるいはセンサーが見張っていて、ドライバーがうっかり車線を越えてしまったら(越えてしまいそうになったら)警告音やハンドルの振動などで危険を知らせてくれるというものだ。それ以外、特別なことはなにもない。車線内に戻るにはドライバー自身が操作しなければならず、自動運転の見地からいうと、なんともローテクで地味な機能となっている。
ただ、交通安全の視点で見ると、この機能がもつ意義はかなり大きい。
もし二車線道路で居眠りなどして車線を越えた場合、クルマ同士の正面衝突を起こす可能性はとてつもなく高い。たとえ警告音や振動だけであろうと、その危険を知らせてくれるというのはありがたい限りだ。なにしろ、お互いがスピードをだしている中での正面衝突の衝撃はほかのどんな事故よりも激しく、たとえエアバッグが開いても双方の死亡につながることが少なくない。それをそれなりに高い確率で事前に防いでくれるというのは、大したことといえるのである。
実際、国土交通省もその効果に注目し、車両総重量3.5トン以上のバス、トラックにLDW装着を義務づけることを決めた。それに基づき、新型車は2017年11月1日から、継続生産車は2019年11月1日からすべてLDW付きになる。
ちなみに、乗用車には、まだこうした義務は課せられていない。だが、メーカー側が自主的に安全上不可欠と判断しているところはあり、標準装着とオプション装着を総合すれば、軽自動車に至るまでLDW装着が普通のことになりつつある。
繰り返しになるが、LDW、大した奴なのである。
ステアリングを自動で動かし
車線内にもどしてくれるLKS
その大したLDWに、さらにクルマ自身が進路を修正する機能を付加したのがLKSだ。これまで紹介してきた自動ブレーキやACCのように、自動運転の匂いがかなり強い。
走行中の車線の位置をカメラあるいはセンサーが見張っていて、ドライバーがうっかり車線を越えててしまったら(越えそうになったら)警告音などで危険を知らせてくれるまではLDWと同じだ。LKSは、そこからさらにステアリングを自動で動かし、車線内の中央に戻すという支援までしてくれる。また、車線をはみだす可能性が大きいカーブなどでは、はみだす前から車線を維持しつづけるための支援もしてくれる。まあ、言葉にするとなんてことないように思えるが、ある意味、交通インフラと連携しているわけであり、間違いなくものすごい機能といえるのである。
もちろん、まだ進化途中なので、課題がないわけではない。LKSの価格は高く、一部の高級車にしか付けられないのが現状となっている。そもそも機能面での問題も残っている。これはLDWも同様なわけだが、車線がかすれていたり雪に覆われていたりするとシステムが作動しないことがあるのだ。それに、きついカーブでの車線維持も苦手らしい。まったくの自動と捉えて、クルマにまかせっきりの運転をするのは、やはりやめたほうがいいのである。
とはいえ、このLKSは、自動運転実現のためのキー機能の一つ。これまで紹介してきた自動ブレーキ、ACCとあわせて今後どんどん進化していくことは確実だ。そして、その進化に終わりはないにしても、「あれ、これって完全に自動だよね!?」という瞬間が遠からず必ずやってくるに違いない。もしかすると、自分で運転するのが大好きな人にとってはもやもやをもたらす状況になるのかもしれない。その思いは尊重しつつ、「自動車文化に多様性がでるからいいんじゃないかなあ」と受け止め、そうした具体的な未来の到来というものを楽しみにしたい。どうだろうか?
※参考文献:『自動運転』(日経BP社発行)/トヨタのホームページ/ホンダのホームページ ほか
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