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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2023年9月19日更新
今回のやられちゃったストーリー
ドーン! 前方不注意のクルマが、信号待ちで停車していたGさん(25歳女性・会社員)のクルマに追突してきた。車両後部はグチャグチャになり、Gさん自身は首を痛めることになった。
明らかに相手が100%悪い事故だった。交渉に当たる前からGさんは「クルマの修理代も、首の治療代も全額払ってもらうわよ!」と息巻いた。
しかし、初っぱなから思いもよらぬ事態が発生する。自身が契約している保険会社に交渉に入ってもらおうとしたところ、「相手の過失が100%の事故の場合、私どもは示談交渉ができません。申しわけありませんが、相手側の保険会社と直接交渉をお願いします」との返答があったのだ。ガーン!
しかも、しぶしぶ相手方の保険会社と交渉を進めてみたら、どうにも納得がいかない展開に。クルマの修理代はすんなりでることになったものの、2週間も通院し、まだ痛みが完全にとれていない首の治療費については、「5日で症状固定(これ以上よくならない状態)となっているので、5日分の通院しか認められない」との回答が返ってきたのだ。もちろんGさんは強硬に抗弁した。だが、相手は保険のプロ、よくわからない理屈で煙に巻かれ、1ミリの譲歩も得られなかった。キーッ!
「わたしは被害者なのに、なんてひどい扱いなの?」
最終的な手段として弁護士に頼ることも頭をよぎったが、かかる費用の膨大さを考えると、とても現実的とはいえなかった。Gさんは痛む首をさすり、悔しさを押し殺しながら、相手方の主張を飲むことにしたのだった。
過失0の事故では
自分の保険会社に交渉が頼めない
Gさんのようなもらい事故における示談交渉は、けっこうやっかいです。相手側の過失が100%で、こちら側の過失が0%となる場合は、自分が契約している保険会社は交渉の場にでられなくなり、相手方の保険会社と直接に交渉を進める必要がでてくるからです。なんだかひどく理不尽なルールに思えますが、これは保険会社が弁護士の仕事を奪ってはいけないという主旨の弁護士法(第72条 非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)によって決められていること。従うよりほかありません。
さらに、従ったら従ったで、また次の問題が発生します。それは、Gさんのケースのように相手側の保険会社主導で示談が進む場合があるということです。相手は保険そして法律にも精通していますから、それに対抗していくことはなかなか困難です。
そうした事態を打開するには、弁護士に交渉を託すという方法があります。ただ、ご存じのように弁護士費用はけっして安くはありません。補償額に見合うかどうかを勘案すると、賢明な解決策とはならない場合もあります。Gさんも、それで仕方なく相手方の主張を飲むことになったのです。
年にわずか千数百円の特約で
300万円までの弁護士費用がでる
Gさんのようにならないためには、いったいどうすればいいのでしょうか?
「日ごろから事故が起きないよう、安全運転に気をつけていればいいんじゃないのかな?」
いえいえ、それだけでは不十分です。なにせ、もらい事故は交通事故の3割強を占めるほど多く発生しています。そして、それらは相手の不注意が原因で起こっています。自分がいくら安全に気を配っていても、防ぎようはなく、当然、その後の交渉も避けられないものとなってしまいます。
ベターな答えは、いま契約している自動車保険に、弁護士費用特約=弁護士費用等補償特約(自動車)を付けておくというものです。
弁護士費用特約を付けておけば、もらい事故後の相手方との交渉に当たってくれる弁護士(保険会社が承認した弁護士)の費用の支払いが受けられるようになります。補償を受ける人1名あたりの弁護士費用が300万円まで(相談料は10万円まで ※いずれも金額は一般例であり、契約によって異なります)でるので、ほとんどお金の心配をすることなく弁護士に交渉が任せられます。
この弁護士費用特約の料金は、そう高くはありません。加入している自動車保険の契約内容などによって額の変動はあるものの、だいたい年間で千数百円で済みます。
しかも、対象となるのは、もらい事故のときだけでなく、その他の自動車事故や日常生活における事故で被害者になった場合にも弁護士に相談・依頼することが可能です(事前に保険会社に承認を得る必要あり)。
「弁護士に依頼するようなトラブルはそうないだろう」とお考えの方も、もらい事故のような予期せぬトラブルが発生する可能性を踏まえ、弁護士費用特約について再考してはいかがでしょうか?
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