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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2023年9月19日更新
【今回のやっちゃったストーリー】
小学生の子を持つB子さん(36歳)にとって、月に一度のママ友たちとの食事会は最大の楽しみのひとつ。美味しい食事をいただきながら子育ての悩み相談ができるし、姑や夫への不満がぶちまけられるしで、日ごろからたまっているストレスを一気に解消できるのが嬉しかった。参加しているほかのママ友たちも同じ気持ちのようで、会は毎回、大いに盛り上がった。
その日、隣町にある人気のイタリアンレストランで開かれた食事会は、そりの合わないママへの悪口が出て、いつも以上に盛り上がった。普段は飲まないワインを注文し、大いに語らい大いに笑った。ようやくお開きになったのは、予定の時刻を大幅に過ぎた夜11時のことだった。
「あー、楽しかった」
B子さんはレストランまで乗ってきていたママチャリで自宅へと急いだ。火照った顔に夜風が気持ち良かった。ただ、狭い歩道を走るのにちょっと苦労した。飲み過ぎたつもりはなかったが、結構酔っていたようで、何度か転倒しそうになった。
もうすぐ自宅というあたりで信号待ちをしていたときのこと。すっと横に警官が現れてB子さんに声をかけてきた。
「お母さん、さっきから歩道をふらつきながら走られていますね。近くで見ると顔も赤い。もしかして飲酒運転してませんか?」
B子さんは一瞬ドキッとした。でも「自転車なのに飲酒運転って、いったいなんの言いがかりよ」と思い直し、堂々とこう答えた。
「ええ、さっきお友だちとワインを何杯か飲みましたよ。だけど、自転車なんだし、別に問題ないですよね? 」
すると警官は、やれやれという顔をして、こう返してきた。
「いえ、自転車でも飲酒運転は重大な交通違反です。詳しくお話をお聞きし、アルコール検査もしたいので、そこの交番まで同行を願います」
ええええ! 果たしてB子さんの運命やいかに!?
交通ルール遵守は
自動車と同様
世の少なからぬ人は、B子さん同様「自転車ならお酒を飲んで運転してもぜんぜん平気」と思っているようです。
でも、それは大きな間違い。
自転車は道路交通法で「軽車両(原動機のない車両)」と位置づけられ、車両扱いされています。免許証は不要なものの、公道を運転するときは自動車と同じように交通ルールの遵守が求められます。
酒を飲んだら運転してはならないというのもそのひとつ。道路交通法には以下の文言が明記されています。
酒酔い運転には
厳しい刑事罰が
罰則もしっかりあります。自転車で飲酒運転したときの罰則は以下の通りです。
酒気帯び運転
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上検出もしくは血液1ml以上検出の場合は違反となり、厳重注意を受ける。自動車のような刑事罰(3年以下の懲役、または50万円以下の罰金)はない。
酒酔い運転
ふらつきがあるなど正常に運転できない状態の場合はアルコール濃度にかかわらず酒酔い運転とされ、自動車と同じ「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」という刑事罰が科せられる。同時に「所持している自動車の運転免許証が停止処分となるなどの不利益が生じる可能性も出てくる」(埼玉県警察本部)。
もし、酒酔いがひどい場合や事故を伴った場合などは検挙に至ります。ときには逮捕されることさえあります。
2022年の自転車の交通指導取り締りにおいては116人もが「酒酔い運転」で検挙されています。おそらく、その大多数は逮捕の憂き目に遭っていると考えられます。
自転車で飲酒運転していたB子さんが警官に呼び止められ交番に同行を求められたのは、だから、驚くようなことではないのです。無知から生じた過ちでも、道路交通法と警官は許してはくれません。B子さんに同情するとしたら、彼女への処遇が酒気帯び運転に対する厳重注意にとどまるのを祈るよりほかありません。
皆さんも、「飲酒運転を絶対にしない、させない」というキャッチフレーズはご存知だと思います。これは、飲酒運転は重大事故につながる危険な行為だということを背景として、飲酒運転の根絶をアピールする言葉です。この「飲酒運転を絶対にしない、させない」には、自転車も入っているということを再認識してください。
ワインを飲んだ後にママチャリで走っていたら、警官に呼び止められて……えっ!?(前編)
ワインを飲んだ後にママチャリで走っていたら、警官に呼び止められて……えっ!?(後編)
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