交通事故でケガをして気を失ったとしても、通信機能のあるドライブレコーダーを通して事故受付センターがその状況を察知し、代わりに救急車を呼んでくれる――。
東京海上日動の「ドライブエージェント パーソナル」は、そんな高度な事故対応サービスがあるドライブレコーダー付き自動車保険(特約)。東京海上日動は、2017年4月に国内大手損保で初めて、従来型の自動車保険と一線を画する「ドライブレコーダー付き」自動車保険という分野を生み出し、以来その需要を開拓し続けてきた。そして、安心度の高さが評判を呼び、2023年3月には契約台数が法人、個人合わせて100万台を突破するまでになっている。
今回、このドライブエージェント パーソナルの実力と魅力を深く知るべく、同社の工藤陽平氏(個人商品業務部 自動車グループ 課長代理)と早川徹氏(個人商品業務部 自動車グループ 課長代理)に話を聞いた。
販売管理担当の工藤氏(向かって左)と開発管理担当の早川氏
三つのサービスで
安心・安全に貢献
――まず、ドライブエージェント パーソナルの開発背景から教えてください。
工藤 もともと、われわれ損保会社の事故対応は、事故が起きてしまった後で保険金をお支払する段階でサービスが具現化する性格が強く、そこにある種のもどかしさも感じていました。事故が起きたその段階でお客さまの安心・安全をサポートしたいという思いがありましたし、お客さまが事故を起こさないように寄り添いたいという思いもありました。ドライブエージェント パーソナルは、そうしたわれわれの思いを結実させた新しい商品として生れました。
――どのような経緯で開発を進めたのでしょうか?
工藤 サービスを提供するまでの経緯としては、2010年ごろから動画の撮影と通信ができるドライブレコーダーが出現したことと、その通信データを分析・活用することが可能になったことで環境が整いました。ただ、一般的な保険商品と違い損保会社単独では開発できない商品だったので、各方面の実績ある企業と提携して開発を行いました。
――ドライブエージェント パーソナルは異業種のパートナーとの協業によって生れたということですね。
早川 そうです。技術面でいえば、最初の通信ができる前方1カメラ型のドライブレコーダーはパイオニア社と一緒に開発を行いました。また、サービスのオペレーションについても、事故対応の分野で実績のあるプレミア・エイド社と提携してオリジナルな対応を生み出しました。
――ドライブエージェント パーソナルは、どんな特長を持っているのでしょうか。
工藤 各種センサーが内蔵され通信機能を持ったドライブレコーダーを端末として、「高度な事故対応サービス」「事故防止支援サービス」「安全運転診断サービス」という、安心・安全なカーライフを支える三つのサービスを提供しています。それぞれの概略は次のようになります。
《ドライブエージェント パーソナルが提供する三つのサービス(概略)》
1.高度な事故対応サービス
◆ドライブレコーダーが強い衝撃を検知したときや、ドライバーが緊急事態を知らせるために機器の赤いボタンを4回タップしたときに、自動で「事故受付センター」に連絡され、映像や位置情報などのデータが記録・送信される。
◆「事故受付センター」のオペレーターは、届いたデータ等によって事故の状況を正確に把握し、ドライブレコーダーを通してドライバーと会話し、適切なアドバイスを行う。
◆ドライバーが危機的な状況と判明したときは、代わりに消防に連絡して救急車を要請する。状況次第で警察への連絡も行う。
◆事故対応後にAI事故状況再現システムによる事故状況説明のシートが作成され、保険の過失割合算定に役立てられる。
2.事故防止支援サービス
◆ドライブレコーダーの各種センサーがクルマの挙動を検知。危険な挙動があった場合には端末から音声メッセージや画面表示、警告音でドライバーに注意喚起を行い、事故防止につなげる。
◆2カメラ一体型の場合は、ドライバーのわき見・居眠りなどへの警告も可能。
3.安全運転診断サービス
◆ドライブレコーダーの各種センサーがドライバーの日ごろの運転傾向を検知。それに基づいた「安全運転診断レポート」(WEBレポート月1回更新、紙レポート年1回更新)が作成され、ドライバー自身の運転の振り返りに利用できる。
◆2カメラ一体型の場合は、スマートフォンのアプリで安全運転診断が確認できるほか、電子クーポンが当たる特典がある。
「事故受付センター」が
代わって救急車を要請
――三つのサービスの中では、「高度な事故対応サービス」が最も大きな特長になっている印象があります。ところで、ドライブエージェント パーソナルの「事故受付センター」は、先ほどお話に出た提携企業のプレミア・エイド社が担当しているようですが、一般に知られている御社のファーストコンタクトセンター「安心110番」とはどう違うのでしょうか?
工藤 「安心110番」は、弊社で保険契約をしていただいているすべての方が利用できるコールサービスです。事故などの際に電話をいただければ、適切な事故受付を行い、お客さまに寄り添った事故対応のお手伝いを行います。ただ、法律上、ドライバーに代わって救急車を呼ぶなどの救急要請ができません。これを行えるのは警備免許を持った警備会社なので、ドライブエージェント パーソナルにおいてはプレミア・エイド社と提携しました。
――救急要請を代行できるということが重要なポイントなのですね。
工藤 ドライブエージェント パーソナルは、事故発生時にリアルタイムでお客さまをサポートすることを実現する商品なので、救急要請の代行は欠かせない要素になります。
――事故対応自体もそれまでのものとは違ったものになったのでしょうか?
早川 大きな衝撃の事故があったときや、緊急時に機器の赤いボタンを4回タップしたときには、ドライブレコーダーから映像や位置情報などのデータが飛んでくるので、それに基づいた高度な緊急対応が行われるようになっています。先に示したように、ドライブレコーダーを通してオペレーターはお客さまに迅速かつ適切な安全アドバイスをします。そして、お客さまのケガがひどいときなどは、代わりに消防に連絡を入れて救急車を呼びます。場合によっては警察に連絡を入れることもあります。
――事故受付センターは、通信できるドライブレコーダーがあるがゆえに高度な緊急対応サービスができるというわけですね。
早川 それからもう一つ大きな特徴は、ドライブエージェント パーソナルの事故受付センターでは、交通事故に関する知見が豊富なオペレーター2名がオペレーションを担当している点です。1人は飛んできた各種データで状況を確認しながらドライバーとのコミュニケーションを進めます。もう1人はそのやりとりを確認しつつ消防や警察などへの救急要請を行います。
――2人で対応すればオペレーションがよりスムーズになる、と。
早川 はい。事故でお客さまが重篤なケガを負った場合、命をお守りするには1分でも1秒でも削った緊急対応が肝要です。われわれは、そうした時間短縮を2人の連携によって実現しているわけです。ドライブエージェント パーソナルに関しては、ドライブレコーダーの通信機能に注目が集まりがちですが、実はこのオペレーターが2名体制で対応するという仕組みも相当に重要なんです。
契約台数100万台突破!ドライブエージェント パーソナルの実力と魅力
(前編)通信型ドライブレコーダーと2人のオペレーターで「1分、1秒を削る緊急対応」が可能に!
(中編)AI活用サービスなどで「事故解決日数短縮▲15%」「事故削減▲13%」を実現!
(後編)「自動車事故の予兆通知」「ドクターヘリ出動要請」といったサービスも!