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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2023年5月30日更新
一定の違反歴がある人は
「運転技能検査」が必要に
後期高齢者である75歳以上のドライバーの運転免許証更新制度は、2022年の5月から変わった。
主な変更点は以下のとおりだ。
●「運転技能検査」を新設
過去3年間に一定の違反歴(信号無視、通行区分違反、通行帯違反等、速度超過、横断等禁止違反、踏切不停止等、遮断踏切立入り、交差点右左折方法違反等、交差点安全進行義務違反等、横断歩行者等妨害等、安全運転義務違反、携帯電話使用等)がある75歳以上のドライバーは「認知機能検査」の前に「運転技能検査」を受検する必要がある。
●「認知機能検査」を変更
従来よりも課題を簡素化。「手がかり再生 (イラストの記憶)」「時間の見当識(年月日・曜日・時刻を回答)」のみを配点課題とする。
●「高齢者講習」を変更
従来2種類あった講習を一元化。2時間で「実車指導」「運転適性検査」「講義」を実施する。
上記の変更を反映した新しい制度をチャート化すると次のようになる。
基本的には、運転に適した認知機能があるか否かを検査・判定する制度であることに変わりはない。だが、一定の違反歴のある人は運転技能検査に合格しないと筆記テストに行き着かないわけで、そういう意味では以前より合格のハードルが高くなったといえる。
合格を目指すか
免許返納を検討するか
本書は、前半で上記を含む新しい制度の全体像を解説し、後半で「認知機能技能検査」の模擬テストを掲載している。
制度の解説は非常にわかりやすい構成になっていて、滞りのない理解を促す。そして、模擬テストは実際のテストに近い内容の問題を4パターン掲載し、合格の可能性を高めるものとなっている。
初めて「認知機能技能検査」を受ける75歳以上のドライバーにとっては、とてもありがたい1冊だ。
公共交通機関が少なく、自家用車を運転せずには自由に移動できない地方に住んでいて、認知機能の衰えもさほどない人が、これまでどおりの便利なカーライフを続けるためには、絶対に「認知機能技能検査」に合格する必要がある。その場合、事前にこの本で練習しておけば、高い確率で合格する可能性が出てくる。
初検査に不安を感じている人には、ぜひ購入をおすすめしたい。
ただし、無条件で推奨するわけにもいかない。
このよくできた“傾向と対策本”は、正確な認知機能の判定の邪魔になるかもしれない。もし、それで本来は不合格となるべき人が合格したら、悲惨な結果につながる恐れが出てきてしまう。
この本は、だから、以下のような活用がベターといえる。
1.自他ともに認知機能がしっかりしていると認められる人は、事前に模擬テストを行っておくことで本番でのつまらないケアレスミスを減らし、本来の認知機能を十全に発揮して合格を目指す。
2.自他ともに認知機能の衰えがあるかもしれないと思われる人は、模擬テストでその衰え具合がはっきりと出たら、無理に合格を目指さず、免許返納の方向を真剣に検討する(受検にはそれなりの費用もかかる)。
3.どちらを選択するにせよ、判定の客観性を保つために、模擬テストは本人だけでなく周りの家族などとともに行うことが望ましい。
どうだろうか? 各々の健康状態に応じた適切な活用を期待したい。
ちなみに、模擬テストの「手がかり再生 (イラストの記憶)」は意外と難しい。初見であれば、後期高齢者ならずとも頭を悩ますこと必至だ。当記事のレビュワーは、合格値には達したものの、思っていたよりも低得点で終わった(汗)。
『運転免許認知機能検査模擬テスト 2023年版』
・2023年4月10日発行
・発行:扶桑社
・価格:550円(税込)
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