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強酸性の温泉水の中で育つ不思議な苔があたり一面をおおう不思議な絶景「チャツボミゴケ公園」

2022年8月23日更新

「チャツボミゴケ」を知っていますか。ウロコゴケ目ツボミゴケ科の苔で、漢字では「茶蕾苔」と書きます。強酸性の水の流れる場所で生育し、世界にある18000種のコケ中で最も耐酸性が強いといわれています。希少なため、国内で見られる場所は、群馬県中之条町と熊本県阿蘇のみ。特に中之条町にあるチャツボミゴケの群生地「穴地獄」は2000平方メートルと広く、一帯は「チャツボミゴケ公園」として整備されています。ふかふかした緑の苔が水辺の多数の石を覆っている景色は、美しく見応え満点です。



この場所にチャツボミゴケが群生しているのには、理由があります。チャツボミゴケ公園を含むエリアは、1966(昭和41)年に閉山するまで、鉄鉱石の採掘場として栄えていました。群生地となっている穴地獄は、採掘によって出来た窪み。この窪みには、あちこちから強酸性の温泉が湧き出ていて、チャツボミゴケが育ちやすい環境が整っているのです。ちなみに「穴地獄」の名称は、ここに動物が落ちると出られなくなり、命を落としてしまうことから付けられました。



もう一つのポイントは、採掘されていた鉄鉱石は、もともとチャツボミゴケが変化して出来たものだということ。ふかふかのチャツボミゴケが、長い年月をかけて“石”になるというのは不思議な気がしますが、生物が鉱物を作る「バイオミネラリゼーション」と呼ばれる作用で、ほかにも真珠やサンゴなどの例が挙げられます。



2015(平成27)年には、チャツボミゴケ公園の穴地獄を含む「芳ヶ平湿地群」がラムサール条約に登録。また、2017(平成29)年には「六合チャツボミゴケ生物群集の鉄鉱生成地」として、国の天然記念物に指定されました。



チャツボミゴケ公園の受付から穴地獄までは、片道1.3キロメートル。5分おきに運行されている無料のシャトルバスで移動した後、300メートルほど歩くと到着です。または、受付から山道を歩いて向かってもOK。いずれの場合も、歩きやすい靴をはいていきましょう。



限られた場所に生育し、不思議な魅力を持つチャツボミゴケ。一度、その姿を見てみてはいかがですか。

詳細情報

名称 チャツボミゴケ公園
住所 群馬県吾妻郡中之条町大字入山13-3
電話 0279-95-5111
営業時間 【4月~9月】午前8時45分~午後3時30分、【10月・11月】午前8時45分~午後3時 ※冬季は閉園
入園料 600円 ※小学生以下は無料
駐車場 (第1・第2・第3)計150台
アクセス 関越自動車道 渋川伊香保ICから約1時間45分、上信越自動車道 碓氷軽井沢ICから約1時間45分
ホームページ http://chatsubomigoke.web.fc2.com/
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