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みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2021年2月12日更新
実質航続距離を伸ばす
インホイールモーター
オートモーティブワールド会場での、FOMM社の広報担当者・佐藤俊氏へのインタビューはさらに続く。後半では、FOMM ONEの画期的な装備・性能についての解説と、今後の日本においての販売の展望を語ってもらった。
——FOMM ONEは街乗りEVということで最高速は80㎞/hと控えめですが、航続距離はNEDCという計測方法で166㎞と、バッテリー容量が小さいわりにけっこう長い数値を誇っています。ただ、日常的な使用での航続距離はこれよりは短くなると思うのですが、満充電で公道をドライブした場合、どれくらいの距離を走ることができるのでしょうか?
佐藤 スムーズな巡航運転を続けさえすれば、普通に160㎞以上は走ります。あるとき、社員が普通はやらない極めて効率的なドライビングを試みたところ180㎞を超えさえしました。
——計測値とあまり変わらないどころか、それ以上走る可能性まであるとはすごいですね。
佐藤 車体が軽いとか、いろいろな要因がありますが、一番の要因としてはフロントタイヤの内側に二つのインホイールモーターを搭載していることが挙げられます。何も介さずに直接タイヤを回すインホイールモーターには、アクセルワークとハンドリングへの反応がクイックにできる特性があるのはもちろん、回生ブレーキによる蓄電が無駄なく効率的に行えるという利点があります。だから、実質の航続距離が普通のモーターよりも伸びるんです。
——そうですか。しかし、インホイールモーターを採用している量産型EVは、今のところはほかに見当たりません。量産車に搭載するにはいくつもの壁があるのだと思いますが、どうして、FOMM ONEではそれが可能だったのでしょうか?
佐藤 ウチの社長である鶴巻はかつて一人乗りEVのコムスを開発した技術者だったんですが、あのコムスはインホイールモーターを採用していました。コムスはリアで、FOMM ONEはフロントにインホイールモーターを入れている違いはあるにせよ、そのときの経験とノウハウがあったからこそ開発と搭載に成功できたというわけです。
——なるほど!そういう流れになるわけですね。
佐藤 とにかく、さまざまなメリットをもたらすインホイールモーターの搭載はFOMM ONEの強みの一つ。これはお客さまに大いにアピールできるポイントだと思っています。まあ、モーターが二つである分、コストがかかるという悩みがあるにはあるんですけどね(苦笑)。
交換式バッテリーという
斬新な提案を具現化
——ところで、FOMM ONEは普通充電のみの対応で急速充電には対応していませんよね。
佐藤 FOMM ONEは街乗りEVなので、普通充電対応のみでも大きな支障はないとの判断があり、そうなっています。参考までにお話しすると、現在開発中のグレードが上のEVは急速充電にも対応する予定でいます。
——その一方で、FOMM ONEは交換式バッテリーという画期的な仕組みを採用しています。しかも、ドライバーのスマートフォンにバッテリーの残量などを報せるバッテリーマネジメントシステムまで備えている……。これはどういった意図なのでしょうか?
佐藤 たとえ街乗りEVとはいえ、街中を長時間走ることがあるだろうし、ときには遠くに行くことだってある。また、自宅で充電できない方がいらっしゃるかもしれません。それを考えると、充電時間の長さへの不満や電欠の不安を解消するための性能・仕組みはあって然るべきだろうということになり導入に至りました。まあ、良いとされる先進技術は、とにかくトライして実装してみようという技術者魂が発露した結果ということも言えるんですけれど……。ちなみに、この導入が実際に可能となったのは、タイヤの内側にモーターを入れたことで交換式バッテリーBOX設置のために必要なスペースをシート下に確保できたことが大きかった。普通のカタチでのモーター搭載だったら、こうはいきませんでした。
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