ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
2020年12月10日更新
日本一のEV乗りが
来季の野望を語った
夕闇が迫る中、2020年の日本EVグランプリシリーズ最後の表彰式が行われた。
ここで表彰されたのはレースにおける各クラス3位までの入賞者と、シリーズ7戦中5戦以上に参戦した上で最高ポイントをあげた各クラスの年間チャンピオンたち。以下の写真の面々である。
EV-Rクラスの上位入賞者。左から2位石井昌道選手(Tokyo Next Speed)、1位廣瀬多喜雄選手(オイラクレーシング)、3位藤田広一選手(ロンリーレーシング)。広瀬選手はクラス年間チャンピオンにも輝いている。
EV-2クラスで1位のレーサー鹿島選手(東洋電産)。同選手はクラス年間チャンピオンにも輝いている。
EV-1クラスの上位入賞者。左から2位TAKAさん選手、1位地頭所光選手、3位八代公博選手。地頭所選手は3年連続の年間チャンピオン(EV-1クラス&総合)にも輝いている。
EV-1クラスのレースに優勝し3年連続の年間チャンピオンとなった地頭所選手は、壇上で以下のようなコメントを残している(要約)。
「僕は2018年に初参戦しました。当時のレースはどノーマルのテスラモデルSでも勝てるレベル。ときにはリーフに負けたこともありました」
「でも、テスラモデル3が数台投入されるようになった2020年からはいきなりレベルが上がった。速度域がスリリングになり、レースが相当に楽しくなった。この1年間、本当にいいバトルができたと思っています」
「そんな中、僕は7戦中、発熱で休んだ1戦以外はすべて優勝できました。これもチームの関係者をはじめとする皆さんのおかげ。来年もTAISANの100勝を目指して参戦する予定なので、どうかよろしくお願いします」
公の場ゆえか、大人の発言である。だが、常にそんな感じでいるわけでもない。実はレース直後の興奮冷めやらぬときに行った単独インタビューでは、レーサー個人としての熱くほとばしる想いも明かにしてくれていた。せっかくなので、その発言も紹介しておこう。
「年間チャンピオン3連覇は前人未踏。そういう意味で歴史に名を刻めたのはとてもうれしいこと。これからもどんどんと勝利記録を伸ばし、二度と抜かれない記録をつくっていきたいです!」
若き王者はこれくらい野心的でちょうどいい。来季の地頭所選手のさらなる飛躍を期待したい。
開発支援金が出る新レースが
来季以降にスタートする!?
地頭所選手から来季の話が出たので、最後に日本EVグランプリシリーズの来季以降の話も紹介することにしよう。
JEVRAは、来季も日本各地のサーキットで全7戦を開催する予定している(日程:未定、開催予定地:岡山国際サーキット、袖ヶ浦フォレストレースウェイ、富士スピードウェイ、筑波サーキット、スポーツランドSUGO、ツインリンクもてぎ ※2戦開催地有り)。
そして、今季はコロナ禍の影響で参戦者が目減りしてしまったが、来季はワクチンの投入などによってコロナ禍の沈静化が見込まれることから、元の参戦者数(20~30台)に戻すよう尽力したいとしている。
その上でJEVRAは、大会にプラスαの刺激策を導入することも検討している。
それは、従来のレースとは別にディベロップクラスという新クラスを設け、従来のエントリークラスに加えてそのカテゴリーのレースを開催すること。ドライバー登録制のエントリークラスに対して、ディベロップクラスはチーム登録制(登録はマシンごと)で、参戦するチームのマシンがシリーズの年間ポイントで上位になれば相応の開発支援金が提供される。いわば“スポンサー賞金制”のレースの実施である。
運営の関係上、参戦マシンごとに年間280万円(税別)の参加料が必要になるが、1位になったマシンにはスポンサーから最高1,680万円(30台参加のレースの場合)もの賞金が提供されるのだとか。レース参戦のモチベーションはかなり高まりそうだ。
JEVRAの富沢久哉事務局長は、このディベロップクラスのレースをはじめる構想をした理由を以下のように語っている。
「われわれJEVRAは2010年の創設以来、地球温暖化防止に役立つEV産業や文化の発展に与することを目的にハイブリッド車を除く電動車のレースを開催し続けてきて10年を超えました」
「それは誇るべき事実としてあるわけですが、一方で日本のEV市場がそれほど成長していないこともあって当初想定していたほどには参戦チームならびに参戦者数が伸びておらず、目指していたEVの産業や文化への寄与もしっかりとはできていない感じは明かにある。そういう部分については少々残念に思っています」
「今回、開発支援金の出るディベロップクラスのEVレースを構想するに至ったのは、その足りていない部分を何とかしたいと考えたゆえです」
「しかも、新しいことにチャレンジするにはタイミングもちょうど良かった……。いま、日本のEV市場を大きく成長させるであろう重要な動きがいくつも出てきています。最近のことでいえば、菅義偉首相が2050年までに日本をノンカーボンの国にする旨を表明したし、アメリカにおいては次期大統領のバイデンさんがパリ協定に復帰してEV施策を強力に推し進める気配が濃厚になるなど、EV化への追い風が強く吹き始めています」
「われわれはこの好機に乗じて、従来のEVレースを充実させるのはもちろん、新たなEVレースを立ち上げることで埋もれていたニーズも掘り起こし、EVレース界をこれまで以上に盛り上げていくつもり。そしてひいてはEV産業と文化の隆盛に大きく寄与していきたいと考えているのです」
このディベロップクラスによるEVレースの概要は、既にJEVRAのホームページ上で公開されている。富沢事務局長によれば、最低5台以上が集まれば来季にでも開催が可能性になるらしいのだが、実際にどうなるかはフタを開けてみなければわからない。もしかしたら、実現は再来季以降のことになるかも知れない。
開始時期がはっきりわからないもどかしさはあるにしても、非常に夢のある話である。なるべく早期の実現を期待したい。
読者の皆さんの中で、もしEVでレースをして大きな金額を獲得したいと夢見る方がいれば、ぜひ、チームを組んで参戦することを検討してみてほしい。われわれも、そんなあなたたちの活躍が見てみたい!
2020全日本EVグランプリシリーズ第7戦レポート
①晴天の霹靂。初参戦の八代選手が予選でいきなり2位に躍り出た!
②レーサー劇場。TAKAさん選手がサーキットの中心でEVレース愛を叫んだ!
③有終の美。地頭所選手が鬼の走りで前人未踏の3連覇を達成した!
④EVルネッサンス。JEVRAが最高1,680万円の“賞金レース”開催に動き出した!
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
中国はEV大国をめざしているいま中国は、EV化路線をひた走っている。近年は、「NEV(NewEnergyVehicle=新エネルギー車)購入者への補助金…
2018.05.29更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
IT企業がEV開発に挑戦いま、世界中で自動車メーカー以外の企業がEV(電気自動車)の開発・販売に積極的に乗りだしている。それは日本においても同様。9月29日…
2017.11.02更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
カーライフジャーナリストのまるも亜希子さんに、eKクロスEVの魅力を徹底解説してもらうこのインタビュー。パート2のテーマは、内装や室内空間について。まるもさんの…
2022.08.09更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
まるも亜希子さんに聞くインタビュー5回シリーズの最終回は、「EV時代における自動車整備工場の在り方」について。まるもさんは「女性、そして子どもたちがファンになる…
2019.08.20更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
今戦はALLJAPANEV-GPSERIES2023のシリーズ前半を締めくくるレースとなっていたが、出走車両が8台にとどまった。もし、初の兄弟ワンツー…
2023.07.06更新
みらいのくるまの「ただいまのところ」情報
アメリカで頓挫した水素化ホウ素ナトリウムの利用前編では、水素化ホウ素ナトリウムの粉を使った燃料電池車(STEPS-FCV)が、いいことずくめであることを知っ…
2016.09.16更新