ロータスクラブが運営するクルマとあなたを繋ぐ街「ロータスタウン」

クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.48 非接触事故が自損事故扱いに。ああ、オールリスクタイプの車両保険に入っておけばよかった……(後編)

2020年2月20日更新



突然、カーブの向こうからセンターラインオーバーをしてきた対向車を避けようとして、愛車をガードレールにぶつけてしまったQくん。本来であれば、相手にもある程度の責任が発生するはずなのに、それができずに自損事故と判定されてしまいました。こんなとき頼りたいのが自動車保険なのですが……。

車両保険にはオールリスクタイプと
エコノミータイプの2種類がある

さて、後編では自動車保険の視点からQくんの事故を見て行きましょう。

Qくん、ガードレールの修理については、自分が入っていた保険の対物賠償保険で賄うことができました。しかし、愛車の修理に使えると思っていた車両保険からの保険金が出ず、自腹で修理せざるを得なくなりました。

その理由は、Qくんが契約していた車両保険がオールリスクタイプ(一般条件)ではなく、自損事故(物損事故)を補償対象外とするエコノミータイプを選んでいたからです。

これまでも何度か、この「もしも」シリーズで車両保険のオールリスクタイプとエコノミータイプの補償対象の違いに関して解説してきましたが、ここで改めて両者について確認しておくことにしましょう。

エコノミータイプには
自損事故や当て逃げへの補償がない

まず補償対象ですが、2つのタイプの車両保険を比較した次の表を見ていただくと、その違いは一目瞭然です。



オールリスクタイプ(一般条件)では、地震・噴火・津波による自分のクルマの損傷以外は、ほとんどのケースで保険金の支払いを受けることができます。

一方のエコノミータイプでは、地震・噴火・津波による損傷に加えて、自損事故ならびに当て逃げによる損傷に関して保険金が出ない内容となっています。

Qくんのガードレルに衝突したことによる(自損事故扱いになったことによる)愛車の損傷に対して保険による補償がされないのは、まさにこうした決まりがあるゆえです。契約上、致し方ない話なのです。

運転に不慣れであれば
オールリスクタイプが安心


Qくんは「保険料を節約するためにオールリスクタイじゃなくてエコノミータイプを選んだ」と言っていましたが、たしかに補償の対象が少ない分、エコノミータイプはオールリスクタイプよりも保険料が安く済みます。

エコノミータイプとオールリスクタイプ、それぞれの保険料の金額は、車両や契約者の諸条件、さらには保険会社によっても違いますが、大雑把に言えばエコノミータイプはオールリスクタイプの半額程度というのが一般的です。

たとえば、20歳のQくんの場合、保険の等級が6等級なので自動車保険の保険料はかなり高額になります。仮に、Qくんが車両価格200万円以下の小型車(新車)を購入し、自動車保険の見積もりを出してもらったところ30万円だったとしましょう。
このとき、車両保険(オールリスクタイプ)の占める割合を全体金額の4割程度と仮定すると、12万円となります。それが、車両保険をエコノミータイプにすると12万円の半分の6万円になるとしたら、その決断で6万円安くなるということです。

まだ稼ぎの少ない若者にとってはけっこうな差額です。ついエコノミータイプを選びたくなる気持ち、わからないでもありません。

ただ、目先の経済を優先するのがベストとは限らないでしょう。自損事故は、些細なものからQくんのようなかなりの修理を必要とするものまで、往々にして起こり得ます。ましてやまだ十分に運転に慣れていない若い人であれば、その発生率が自ずと高くなることは間違いないところです。

それを考えると、「なにが起こるかわからないので、それに備えなくてはならない」という自身の安全・安心なカーライフをコントロール&マネジメントする意識を持ち、オールリスクタイプの車両保険に加入する意味は十分にあるのではないでしょうか。もし、あなたの車両保険がエコノミータイプだったとしたら、そのあたり、ぜひしっかりとご検討いただければ幸いです。

最後に、もう一つ言わせていただくならば……もし、Qくんがオールリスクタイプの車両保険に入っていれば、自損事故を起こした失点はあったとしても、愛車の修理代は車両保険の補償で賄うことができるので、彼女に対して一人で帰らせたお詫びのプレゼントやご馳走をするぐらいはでき、わずかながらでも彼女の気を引き留められる可能性はあったかも知れません。それすらできなくなってしまったQくん、重ね重ね残念でした。がんばって、早く立ち直ることを祈っています!

非接触事故が自損事故扱いに。ああ、オールリスクタイプの車両保険に入っておけばよかった……(前編)

非接触事故が自損事故扱いに。ああ、オールリスクタイプの車両保険に入っておけばよかった……(後編)

  • ロータスカードWeb入会
  • ロータスカードWeb入会
  • 店舗検索
  • 店舗検索
  • 楽ノリレンタカー
  • 楽ノリレンタカー

あわせて読みたい

  • 【番外編】緊急脱出の準備、できていますか!? JIS適合の「消棒RESCUE」が頼りになるワケ(中編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    【番外編】緊急脱出の準備、できていますか…

    ホンダとともに高いレベルの製品を開発日本で一番信頼できる緊急脱出支援用具と目されている「消棒RESCUE」をつくっているのは、埼玉県所沢市にある株式会社ワイピ…

    2018.04.25更新

  • Vol.83(前編)キャンプ用のナイフを車内に置いていたら、銃刀法違反に問われてしまった!

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.83(前編)キャンプ用のナイフを…

    【今回のやっちゃったストーリー】スズキのジムニーを愛車にしているZさん(26歳・会社員)。週末になると必ずといっていいほど“ぼっちキャンプ”に出掛けている。…

    2023.06.22更新

  • Vol.77(前編)カーシェアの車両返却時にうっかりミス。高額なペナルティ料金にビックリ!

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.77(前編)カーシェアの車両返却…

    【今回のやっちゃったストーリー】都内に住むTさん(61歳)は、定年後、同じ会社で契約社員として働いている。貯金はそこそこある。だが、先の長いセカンドライフのこ…

    2022.11.24更新

  • Vol.88(前編)社用車を私用で使って物損事故。その損害賠償責任は誰にあるの?

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.88(前編)社用車を私用で使って…

    【今回のやっちゃったストーリー】Fくん(22歳)は、小さな広告会社の新人営業マン。会社の社員は8名で、やることが多い割に給料は安かった。だけど、好きな仕事だ…

    2023.12.26更新

  • Vol.31 原付バイクの「うっかり自賠責切れ」にご用心!(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.31 原付バイクの「うっかり自賠…

    【今回のやっちゃったストーリー】一浪の末に大学生になったBくん(19歳)は、叔父さんから遅れ馳せながらの入学祝いとして、叔父さんが乗っていた原付バイクをゆずっ…

    2018.05.29更新

  • Vol.60 高級車と衝突事故。こっちが被害者なのに損害賠償払うの?(前編)

    クルマのトラブル「もしも」マニュアル

    Vol.60 高級車と衝突事故。こっちが…

    【今回のやっちゃったストーリー】地元の大学に実家から通っているCくん(20歳)。趣味のサーフィンに行く足として、ずうっと自分のクルマがほしかった。家に父親の…

    2021.03.25更新

< 前のページへ戻る