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クルマのトラブル「もしも」マニュアル

Vol.46 若い息子の自動車保険料を安くする『等級の引き継ぎ』という“奥の手”!(後編)

2019年10月24日更新



前編の事例で紹介したとおり、19歳のOくんは父親の等級(20等級)を譲ってもらって、自身の保険料をかなり低く抑えることができました。この自動車保険における等級の引き継ぎ(譲渡)はどのような仕組みなのか、見ていきましょう。

同居している家族なら
等級を引き継ぎできる!

Oくんの父親が、「等級が譲れるモノだっただなんて、まったく知らなかったよ。ほんと保険ってワケわかんないところがあるよなあ」と驚いたように、自動車保険における等級の引き継ぎ(譲渡)を意外なことと思う人はけっこういると思います。
しかし、自動車保険の等級は決して契約者本人(記名被保険者)に固定されるものではなく、本人の意思でほかの人に引き継ぎ(譲渡)することが可能なのです。

ただし、譲渡できる相手は限定されます。知人や友人はNG。
可能な対象者は、加入している自動車保険の契約者本人(記名被保険者)の配偶者および、記名被保険者または配偶者の同居の親族までです。具体的には次のようになります。
①契約者本人(記名被保険者)の配偶者 ※同居もしくは別居でも可
②契約者本人(記名被保険者)の同居している6親等内の血族
③契約者本人(記名被保険者)の同居している3親等内の姻族
ですから、同じ親族でも、別居していると、配偶者以外には譲渡できないことになっています。

Oくんは、高校卒業からしばらくの間は両親のいる実家でモラトリアムな生活を送り、改心して働き始めてからもその状態が続いていました。父親からの等級の譲渡は、それ故に可能となったのです。世の中、何が幸いするかわかりません(苦笑)。

20等級を引き継ぐと
保険料は半額程度になるかも!

では、父親からの等級の譲渡によってOくんの自動車保険の契約料はどれほど安くなるのでしょうか?

Oくんが購入すると決めたハッチバック型コンパクトカーは車両価格が約165万円ほどの新車と仮定します。そして、契約する自動車保険は車両保険も含めたフルの内容になるものとしましょう(本人限定特約付帯)。

その条件下で、もしOくんが等級の譲渡がない状態つまり一番最初の6等級で保険契約をするとなると……19歳という年齢のこともあって、1年間の保険料はなんと約30万円にのぼってしまいます。

一方、無事故の運転歴を持つ父親から等級を譲渡され、20等級として保険契約するとどうなるのかというと……19歳という年齢は影響しますが、20等級(無事故)の割引率がしっかりと適用されるので1年間の保険料は約15万円程度に抑えられます。
※本文掲載の保険料は概算であり、個々のケースで金額は違ったものになります。

Oくんのケースでは
父親の納得度も十分

ところで、Oくんは良いとしても、自分の保険の等級を息子のOくんに譲った父親の納得度はどうなるでしょうか?

父親は、改めて自動車保険に加入することになるので、普通に考えれば6等級からの再出発ということになります。
ただし、自動車保険には、2台目以降のクルマを購入して新規に自動車保険に加入するときに、1台目がが11等級以上であれば2台目の保険の契約は最初の6等級ではなく7等級から契約できるようになる『セカンドカー割引』という制度があります。そして、これは等級を譲渡したケースにおいても適用されるようになっています(父親のクルマがセカンドカー扱いになる)。

それに、50歳になる父親は、「35歳以上」の年齢条件や、(無事故なので)ゴールド免許割引も付けることができるでしょう。例えば、それまで年間3万~4万円程度の保険料であったとするならば、年間5万7千円~7万6千円ぐらいの保険料となると考えられます。まだまだ働き盛りの父親にとって、この負担増は決して痛いものではないはずです。
※本文掲載の保険料は概算であり、個々のケースで金額は違ったものになります。



そう、Oくんのようなケースにおいては、父親の納得度も十分満たされると考えられます。10代の初心運転者がマイカーを所有する際に待ち受ける、「高額保険料」という難題に対して、『等級の引き継ぎ』がまさに“奥の手”となる所以です。

ということで、中高年の皆さん、もし、同居している年若い子どもがクルマを購入することになり、そのときに自分の自動車保険が大きな等級であったとしたら、ぜひ、この『等級の入れ替え(譲渡)』という“奥の手”を思い出してください。注意すべきは、「子どもが同居中でなければいけない」ということ。とっておきの手段も、機を逸すれば威力を失いかねませんので……。

若い息子の自動車保険料を安くする『等級の引き継ぎ』という“奥の手”!(前編)

若い息子の自動車保険料を安くする『等級の引き継ぎ』という“奥の手”!(後編)

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