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クルマのトラブル「もしも」マニュアル
2021年6月9日更新
今年、運転者本人・夫婦限定特約(以下、本人・夫婦限定特約)を付けて自動車保険の契約を更新していたNさん。娘が帰省してNさんのクルマを運転する前に、いったいどんな対処をしておくべきだったのでしょうか?
Nさんの事例で、娘が遭遇するかもしれない交通事故などのトラブルに備えて、自動車保険でリスクヘッジを行うとすると、考えられる対処方は二つあります。
一つは、「(娘が)運転する前に1日自動車保険の契約をする」というもの、もう一つは「(Nさんの)保険の運転者本人・夫婦限定特約を一時解除する」というものです。
スマホから申し込めて
料金も安い1日自動車保険
まずは一つ目の「娘が運転する前に1日自動車保険の契約をする」から見ていきましょう。
1日自動車保険は、その名のとおり1日単位の自動車保険(最短1日から契約が可能な自動車保険)のことです。ロータスクラブが提携している東京海上日動火災では「ちょいのり保険」、あいおいニッセイ同和損保では「ワンデーサポーター」という名称になっています。
東京海上日動火災「ちょいのり保険」公式サイト
あいおいニッセイ同和損保「ワンデーサポーター」公式サイト
この保険の利用はカンタン。スマートフォンから事前登録しておけば、いつでもすぐに利用申し込みができ、そのまま即時に保険が使えるようになります(コンビニ店頭にある端末から申し込みができる保険会社もあります)。
そして、それほど手続きが簡易にも関わらず、対人賠償、対物賠償については基本的に無制限となっている上、「車両補償あり」のプランを選べば、自分のクルマの損害をカバーすることもできる安心の内容となっています。
しかも、料金がリーズナブル。「ちょいのり保険」でいうと、24時間あたりの保険料は「車両補償なし」のシンプルプランで800円、「車両補償あり(対象事故限定条件付)」のレギュラープランで1,800円、対象事故限定条件のない「車両補償あり」のプレミアムプランが2,600円となっていて、年に数回しかクルマを運転しない人にとっては非常に利用しやすい料金設定となっています(保険料は基本的に月々の電話料金といっしょにケータイキャリアから請求されるので、支払いの煩雑さが発生しないという利点もあります)。
なお、言うまでもないことですが、娘が1日自動車保険を契約したとしたら、Nさんは自分の保険を本人・夫婦限定特約が付いた状態にしておいてもまったく問題はありません。
特約の解除はカンタンだが
追徴保険料がかかる
次の「保険の本人・夫婦限定特約を一時解除する」は、言葉どおりの対処法となります。Nさんは、帰省した際にN さんのクルマを運転する可能性がある娘を自分の自動車保険の対象とするために、保険に付けていた本人・夫婦限定特約を一時解除すればいいのです。
一時解除の手続き方法は損害保険会社によって異なりますが、ほとんどの場合、保険会社のコールセンターや自分が契約する保険代理店に電話することで手続きができるはずです。
このとき、注意しなければならないことは、一時解除の後の補償開始日がいつからになるかということ。
Nさんが一時解除したつもりで、補償開始日前に、娘がクルマを運転して事故を起こせば前編と同じく自動車保険で補償することはできません。
また、契約内容を戻すときには変更手続きを行う必要があります。一時的にせよ契約条件を広げることで追徴保険料が発生しますが、短期間で元に戻せばその額は少なくて済みます。娘が大学のある都会の街に戻るタイミングで、Nさんが契約内容を元に戻さないと、それ以降の期間について「運転者限定特約なし」となり、追徴保険料は高くなってしまいます。
以上の「運転する前に1日自動車保険の契約をする」と「保険の本人・夫婦限定特約を一時解除する」の、いずれの選択をするかは当事者次第というところでしょう。
Nさんの例で言えば、娘が自主的に動くのであれば1日自動車保険でしょうし、娘が「なんもしない。よろしくぅ」という調子ならばNさんが自動車保険の特約を一時解除するという方法になるでしょう。
いずれにせよ明確にいえるのは、Nさんはこの二つの対処方のどちらかを必ず選択・実施しておくべきだったということ。それに尽きるでしょう。
別居の未婚の子には
年齢条件の枷がない!
今回の話は以上ですが、最後に、プラスワンのネタを付け加えておきたいと思います。
皆さんご存じでしょうが、自動車保険には、運転者年齢条件特約(以下、年齢条件)という特約があります。
これは、運転する人の年齢を制限することにより保険料を割引する仕組みです。区分としては、すべての年齢の人が運転しても良い「全年齢補償」、そして年齢条件を付けた「21歳以上補償」、「26歳以上補償」、「30歳以上補償」、「35歳以上補償」の5種類が一般的です(保険会社によっては「35歳以上補償」を設定していない場合もあります)。そして、事故率が低くなる高い年齢条件を選択するほど保険料が安くなる仕組みとなっています(つまり「35歳以上補償」がもっとも安くなります)。
この年齢条件は、運転者限定特約と併用で考えるのが普通です。今回のケースでいえば、Nさん(50歳)の奥さんが40代であれば、本人・夫婦限定特約とは別に、「35歳以上補償」の年齢条件を設定しているはずです。
では、帰省した娘がNさんのクルマを運転するとき、一日自動車保険の利用ではなく、Nさんが運転者限定特約を一時解除した場合、「35歳以上補償」の年齢条件も変えなければいけないのでしょうか?
「当然、そうだろう」と思う方も多いと思います。
けれども、これは変えなくても良いのです。
(「運転者限定なし」であれば)年齢条件が設定されていても、別居の未婚の子は補償の対象になるのです(同居の子がその年齢に達していない場合は補償の対象外です)。
なぜなら、別居の未婚の子は、同居の子と比べて運転頻度が低いために、事故リスクも低いと見なされ、それ故に年齢条件からはずれるようになっているのです(別居中の子は事故リスクが低い臨時運転者と位置づけられます)。
Nさんと娘のように、別居の未婚の子が短期間帰省し、実家のクルマを運転するというシチュエーション……最近ではけっこうありそうです。そんなとき、「そうだ!保険、どうしよう?」と思い出してください。
久しぶりに帰省した娘が交通事故!ウチの自動車保険でカバーできないの!?(前編)
久しぶりに帰省した娘が交通事故!ウチの自動車保険でカバーできないの!?(後編)
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